2015.10.4　立山まんだら行脚　八寒地獄編　（ご近所さんと）

2015/10/10
14:01

表題につけた「立山まんだら（曼荼羅）」とは、江戸時代に立山信仰の拠点として栄えた麓の芦峅寺（あしくらじ）地区や岩峅寺（いわくらじ）地区の宿坊当主らが、冬のシーズンオフに全国へ山岳修験の勧誘におもむく際に、携えていた絵図のことです。

ちなみにこれが代表的な「立山曼荼羅」です。四本の掛け軸で構成されており、庄屋さんなどの座敷にこれを掲げ、村人たちを集めて立山の有り難さを説き、立山禅定（ぜんじょう：信仰登山の意）の勧誘に使ったそうです。立山曼荼羅の事を調べる際、大変参考になったＷＥＢ宿坊　立山・静寂庵さんのＨＰでは、精神世界を描いた信仰絵図であるとともに「立山登山ツアーの宣伝ポスター」でもあったと紹介されています。

おおまかに四つの場面が描かれており、

①開山縁起　絵図左下から始まる場面で、少年が白鷹と熊さんに導かれて山をのぼり、仏様から「立山を開け」との命を受けるところが描かれています。

②立山地獄　左中段から上部にかけて地獄思想を説いた場面が描かれています。

③極楽浄土　最上部全体には阿弥陀如来さんのご来迎が描かれています。

④布橋潅頂会（ぬのばしかんじょうえ）　かつて登山が禁止されていた女性救済を目的とした芦峅寺最大の儀式が下部中央から右端にかけて大きく描かれています。

う～む。なるほど。ＴＶも、るるぶも、ＰＥＡＫＳも、ランドネも無かった江戸時代に、こんなキャッチーな絵図を見せられたら・・・そりゃ立山登りたくなっちゃいますよね～

時は流れて・・・・・

平成の世・・・・・
ワタクシの携帯に立山に登りたくてしょうがない男からＬＩＮＥが届きました。・・・・・その男の名はご近所さん１号・・・・
ワタクシ今年の6月に立山は周回してますので、正直、別の山に行きたくて木曽駒を提案したのですが、よくよく調べてみると紅葉シーズンかつ休日の木曽駒は、すさまじい人が押し寄せ、ロープウェイが3時間待ちになることもあるとのことでした。苦労して長距離走っていったとしても、それではとても登ることはムリっと判断し、1号の熱望どおりの目的地とすることにしました。

3:30　自宅出発
ＳＡで朝食と山で食べるおにぎりを購入。平地でも風が強く、かなり肌寒いです。「てんきとくらす」でお天気の具合を調べてみると・・・・・あら！？・・・・Ｃ・・・と・・・・Ｂ・・・・？　　
し、しかも3,000ｍ付近・・・風速18ｍって・・・・・・・・。
悪いイメージしか浮かんでこないんですけど。

5：59　立山駅　臨時駐車場到着
駅前にある2つの駐車場はすでに満杯でした。すこし離れた、常願寺川沿いの第一臨時駐車場に誘導されました。木曽駒ほどではないにせよ、さすが紅葉シーズンの日曜日です。この駐車場も間もなく埋まりそうです。

6：10　立山駅前
駅前の木々がブルーのイルミネーションでライトアップされてますね。秋を通り越して冬のイメージです。

今回相当な混雑が予想され、当日券を求めて売り場に並ぶのは避けたかったのでケーブルカーと高原バスのチケットは事前にネット予約をしました。ただその段階で、6：20発の始発は完売。やむなく7：00発の次便をおさえていました。窓口で確認すると6：30発の臨時便が増発されるとのことでしたので、急遽その便に変更してもらいました。

ほ、ほほほうっ。なかなかの行列ですな。

インフォメーションモニターには立山主要地点のライヴビューカメラの映像が次々と映し出されています。
おおおっ、弥陀ヶ原！紅葉が真っ盛りですね～

・・・・・・・・・・・・・・・・。　

・・・・きっとカメラが故障してるんだろうな・・・・きっと・・・・

6：30　ケーブルカー到着
周りの皆さんのダッシュにぶち抜かれます。この時点で席に座るのはあきらめました。まぁ7分ほどの乗車時間ですから、立ってても余裕ですよーだっ！

　　
満員の車内に外の見どころを説明するアナウンスが流れます。「立山火山の溶岩が冷却する際にできた柱状節理の岩が・・・材木が折り重なっているように見え・・・材木岩と・・・・」

立山曼荼羅で見ると、このあたりでしょうか。昔はこんな感じで登っていたんですね。もちろん今でも材木坂コースとして美女平まで100分ほどかけて登れる登山道がありますが、標高差500ｍあり、急登が連続。迷いやすく難易度、星4つとのことですので覚悟して登られた方がいいかも知れません。軟弱な我々は・・・多分一生通らないと思います（笑）

6：40　美女平で高原バスに乗り換え
本来の定期バスは7：00ですが、6：40発の臨時便が増発されていました。

駅舎の横には美女杉といわれるタテヤマスギの大木が聳えています、立山の女人禁制にまつわる伝説と祠が残されています。
（美女杉の写真は立山黒部アルペンルートのＨＰから）
現在ここは恋愛成就のパワースポットとされているようですが・・・曼荼羅で見ると・・・・エグイことになってます・・・・

当然、高原バスも補助席フル活用の満員です。車窓から見える紅葉は見頃ですね～。

7：30　室堂到着
6月に来た時には相談員の方がいらして山の状況や予定コースの確認などをしてくださったのですが、今日は閉まっています。
そ、それにしてもハンパない寒さ！

そうです。もう冬山なんですね。頭では分かっていましたが、いざ現実を目の前にすると身が引き締まります。登山届をしっかり記入してと・・・。暖かいバスの中から一気に0℃近くの外気温になりますから、ＯＰＰ（おなか・ぴー・ぴー）対策も念には念をいれてと・・！

8：07　室堂出発
高度順化のため、30分以上室堂で過ごしました。ただでさえ悪コンデションの中、高山病になってはシャレになりませんからね～
立山駅で見たライブカメラ・・・・真っ白の映像しか映ってなかったのは・・・・カメラの故障ぢゃなかったのね・・・・

室堂から出てきたばかりのためかもしれませんが、気温表示は5℃　風も思ったほど強くはありません。

立山室堂山荘の前で浄土山方面に右折します。今回は、6月の山行の際、行かなかった浄土山方面から、雄山・大汝山・富士の折立・内蔵助カールを経て、これも前回には通らなかった大走りから雷鳥沢のルートで下山する計画を立てました。ペース良く回れれば別山までいって剱岳を間近に見たいところですが・・・・。

30分程度では高度順化が十分でないのか、1号もけっこうシンドそうです。彼は今回初めて山でレインウェアを着たそうです（笑）

振り返ると室堂のバスターミナルがガスのすき間から見えていました。曼荼羅では、こんな感じに描かれています。

あまりのガスガスのため、室堂山の展望台には向かわず、浄土山を目指します。

気温は3℃まで下がってきました。標高が上がるにつれ、風も強くなってきています。

室堂の注意書きにあったとおり、登山道のいたるところに氷が張っていました。

天気の良いときと違って、岩にほどこされたマーキングを見失わないように注意して登ります。

8：55　浄土山登山口通過
今までよりさらに岩山登りとなり、ハードさが増します。ホントにこの上に極楽浄土が待ってるんでしょうか・・・・？

ハイマツ帯に達すると、周りを遮るものがなくなり、モロに強風が吹きつけます。

ついに気温は１℃まで下がってきました。風速が1ｍ増すごとに体感温度は１℃下がると言われてますから、あきらかに体感温度は氷点下に突入しております。

レインウェアとパーカーと発熱インナーの重ね着で固めたカラダはともかく、露出している顔の冷たさがハンパないのでフードでなるべく覆うようにします。ほんの一週間前の唐松岳ではＴシャツでも汗ばむくらいだったのに・・・・

ガスガスのときは活発に活動すると言われている雷鳥さんも、あまりの強風に、岩の陰に身を潜め動こうとしません。

9：36　富山大学立山研究所到着
ガスガスのあまり、正直どこが浄土山の山頂かよくわかりませんでした。（恥）

ここは、目指す一の越方面と、龍王岳、五色ヶ原方面との分岐点になりますので、石垣の影で風を避けながら地図で確認します。

足元には立派な霜柱がザクザクしています。

道を確認したら、しばし休憩のあと、再び歩き出します。曼荼羅によると、本来ここらへんは極楽浄土のハズなんですけど・・・・・

どういうわけか・・・ワタシたちは・・・・八寒地獄の入口に迷い込んでしまったようです。

１号！大丈夫か！？

いつもの泣き言が出てこないので、不思議に思って声をかけると、
振り向いたヤツの目は・・・・完全に・・・・ゾンビと化していました。

なるほど・・・・だから・・・・妙にサクサク登っていたのね・・・・

果たして、我々は山頂に辿り着けるのか？
そして１号はニンゲンに戻ることができるのか！？

極楽浄土編につづく

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No title

何とタイムリーな！
実はワタクシちょうど「劔岳　点の記」を読んでいるところでありまして「立山曼荼羅」が見れたことにちょっぴり感動しております。

そんなワタクシも先日乗鞍岳で八寒地獄を体験してきました。エビの尻尾ができてましたからね（笑）
同じく先週登った鳳凰三山ではＴシャツの人もいたんですけど・・・アルプスはもう来年までおあずけかですかね。

2015/10/10(20:19)
poptrip URL
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No title

こんにちは

唐松岳に続いて２週連続の北アルプスとは・・・
ご近所１号さんは完全にサルセン状態（自粛）ですね（笑）
でもその気持ちはよく分かります。
登りたくて登りたくてしょうがないのは私も経験しました。
バイクも購入当初は小雪が舞って一面真っ白の山中湖までツーリングしてました（笑）

今回はあまりお天気に恵まれなかったようですが、続きが極楽浄土編ということはお天気に恵まれたのかな？

続きを楽しみにしています

2015/10/11(13:42)
よっし～ URL
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Re: No title

popさん　こにゃにゃちは。

> 実はワタクシちょうど「劔岳　点の記」を読んでいるところでありまして「立山曼荼羅」が見れたことにちょっぴり感動しております。
おおぅ！点の記！ワタクシはＤＶＤでしか見たことありませんが、柴崎の妻を演じた宮崎あおいさんがヨカったです。
よっし～さんの剣岳レポではpopさんが測量部の生田信（映画では松田龍平が演じてました）にハメられてましたね（笑）
立山曼荼羅は以前から気になってたので、タイミン・グ～！グぅグぅ・・・が合ってうれしいです。

> そんなワタクシも先日乗鞍岳で八寒地獄を体験してきました。エビの尻尾ができてましたからね（笑）
> ・・・アルプスはもう来年までおあずけかですかね。
ワタクシも、popさんのおっしゃる「軟弱百名山」（いいえてみょーですな）で今年のアルプスや高山は打ち止めとなりそうです。
これからは、里山、冬里山のシーズンですね。そちらもまた楽しみです！

2015/10/12(12:07)
ツギロウ URL
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Re: No title

よっし～さん　こんにちは

> ご近所１号さんは完全にサルセン状態（自粛）ですね（笑）。
> 登りたくて登りたくてしょうがないのは私も経験しました。
ヤツは今後、冬の里山にも挑戦したいと意気込んでいます。まずは雪の文殊山からでしょうか・・・って
来シーズンにはすっかり追い抜かれそうです。

> バイクも購入当初は小雪が舞って一面真っ白の山中湖までツーリングしてました（笑）
ふふふっ一緒です。ワタシも冬でもすこしでも路面が乾いていたら繰り出してました。・・・いまはすっかり鉄の塊でしかありませんが・・・いいんです！熱中するものがなきゃ生きてても楽しくありません。

続きが極楽浄土編ということはお天気に恵まれたのかな？
山の法則どおりの一日でした。やっぱり降りたら・・・るんですね～（泣）

2015/10/12(12:20)
ツギロウ URL
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福井　山のぼり日記