2015.8.11 天空の要塞を見上げて 白馬三山～白馬大池～乗鞍岳縦走（ソロ） 2日目

２日目は白馬鑓ヶ岳から杓子岳を越え、白馬岳頂上宿舎のテン場を目指します。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　


4：30　起床
３時頃から何度か起きて外の様子を伺いましたが、まったく星空は見えずガスがかかっているようでしたので、ご来光はあきらめ、ふたたび寝てしまいました。
　




　
夜も天候が崩れることはなく、風もほとんどない平穏な朝を迎えることができました。



テントを撤収したり、身仕度をしていたら、雲の隙間から太陽がやっと現れました。けっこう雲は厚く、天気は悪くないものの、快晴ではありません。



思ったより撤収と身支度に時間がかかってしまい、朝食はグラノーラとドーピング剤で簡単に済ませます。



6：01　テン場出発
忘れ物がないか、もう一回あたりをうろうろします。今日降りるだけなのでゆっくりの方が多いのか、周りの皆さんはまだテントの中です。



テン場から10分弱登ったところに水場がありますので、昨日空いたペットボトルに補給します。



振り返ると、鑓温泉小屋の屋根が見えます。お世話になりました。またいつか！


　
道もすぐ険しくなり、ウォームアップしてるヒマがありません。




この辺りは、北アルプスの中でも非常に事故が多い場所で、７月の末にも、痛ましい滑落死亡事故があったばかりです。
注意を促す看板、立札が目につきます。特に下りでの事故が多く、登山道自体の難易度というよりも、一日歩いて心身とも疲れが溜まった状態で休息地である鑓温泉を目前にして、つい気が緩んでしまったり、足が思うように動かなかったりして事故につながっていることが多いようです。




ちょうど上から、ハイカーさんが降りてこられましたのでしばし待ちます。やはり皆さんかなり慎重に足を運んでらっしゃいます。




すれ違いを待っていると、荷揚げのヘリが頭上を通り過ぎて行きました。ハイシーズンだけに物資の補給は大変なことでしょう。




さあ、ツギは自分の番です。気を引き締めて行きましょう。鎖も遊びがけっこう多いので頼り過ぎず、足元をしっかり確かめながら・・・


　
北アルプスは岩礁帯を通ることが多いので、今回テント内で敷くお休みマットは去年白山で使ったサーマレストＺライトソルではなく、ザック内に収納できるモンベルのＵＬコンフォートシステムバッド150というマットに変更いたしました。圧縮スポンジに空気を補充して膨らますタイプです。



ちなみにこれは去年白山で使った時のサーマレストです。壊れる心配もなく、厚みもあって寝心地もいいのですが、どうしても嵩張るので外付けにせざるを得ません。このような岩礁帯では、出っ張りがひっかかってバランスを崩し命取りになる危険性が高いのです。しかし・・・このパッキング・・・今見ると、砂防新道だとしても・・・おっかないな・・・




足場はしっかりして幅もあり、、高度感もあまり無いのですが、なにせ岩が滑りやすく、今日のような晴れた日でもけっこう滑りますので、雨の日や下りでは本当に注意が必要だと思います。




ビビりながら岩礁帯を抜けると・・・一気に視界が開け、すばらしい景色が広がります。まさに楽園そのものです。



振り返ると、飛行機に乗った時にしか見れないような雲海が広がっています。




足元にはチングルマ（稚児車）の実があたり一面、風に揺れています。




目指す白馬鑓ヶ岳とは反対方向、不帰嶮（かえらずのけん）へと続く天狗の頭方面には、鋭く尖った赤茶けた岩山が立ち並び、その先の難所ぶりを暗示してるようです。鑓ヶ岳方面の白い山肌とはまるっきり違います。



ワタシはお花畑の広がる、こっちの白い方へ行きますよ～



前を見ても、後を見ても、いつまでも眺めていられそうな景色です。



雲海の上に高妻山・黒姫山の頂が突き出していますいちばん左奥は妙高山でしょうか。



8：03　大出原（おおでっぱら）通過
なんともメタボが気になるお年頃のワタクシにとってはイヤな名前です。




さらに上に進むにつれ植生も変わってきて・・・



チシマギキョウ（千島桔梗）や



ウラジロタデ（裏白蓼）




そして、出ました！大御所！
高山植物の女王コマクサ（駒草）
さすが女王様。若いツバメならぬ、若いイワヒバリ（岩雲雀）を従えてます。



イワヒバリくん。ライチョウほどではありませんが、あまり人を怖がりません。登山者のわりと近くで花や新芽をついばみます。
動きが速いのでカメラで追うのが大変ですが、仕草はとっても愛嬌があります。ウルップソウ（得撫草）やコマクサの群生の中、北アルプスのアイドル競演ですね！




本格デジイチ・本格ヘルメット・本格装備の山ガールさんも撮影に夢中で、ワタシと同じ場所で撮りまくってました。
イワヒバリを見失ってキョロキョロしていると、彼女も同じ様にキョロキョロしていて、顔を見合わせて笑いあう場面も。
ただカメラの構え方といい、被写体を追う集中力といい、相当の手練れとお見受け致しました！




8：37　唐松岳・天狗平⇔白馬岳の稜線に出る



気温は16℃ですが、稜線に出るとさすがに風が強く、かなり寒く感じます。薄手のパーカーを羽織りました。



不帰キレットの待ち構えている唐松岳方面に向かうと、多分ホントに帰ってこれませんので（笑）
計画通り白馬三山を目指します。まずは白馬鑓ヶ岳頂上です。コチラから見ると、なんだか、潰れたソフトクリームのような形をしていますね。長野県側から見える険しい山容とは全然違います。



足元にはイワツメグサ（岩爪草）や



トウヤクリンドウ（当薬竜胆）




ガレた岩山のぼりですが、傾斜が緩やかなので、足運びは難しくありません。



ふと、振り返ると稜線の向こうに、剱岳と立山連峰が姿を現してきました。



岩と雪の殿堂、剱岳。やはり圧倒的な存在感です。




天狗山荘の向こうには、唐松岳～五竜岳～鹿島槍ヶ岳が重なり合って聳えています。




さらに天狗の頭から続く稜線の先には、槍ヶ岳～穂高連峰が・・・




9：20　白馬鑓ヶ岳山頂到着（標高2,903ｍ）
白馬三山の一つめ登頂です。あまりに振り向いてばかりいたので、首がおかしくなりそうでしたが、今度は目の前に白馬岳の切り立った山容が飛び込んできます。




白馬三山の残り二つ。杓子岳（手前）と白馬岳の息をのむ競演！
さらにその向こうには明日縦走する予定の稜線が続いています。

し、幸せすぎる（涙）



そして・・・

「白馬三山は稜線を北上しつつ、南側から見る方が美しい」

白馬、時計回りルートの神髄。間違いございませんっ！




山頂を後にし、小鑓とよばれるピークから一気に杓子沢コルと呼ばれる鞍部まで一気に下り降ります。



なかなかの高度感ですが、道は明瞭で、慎重に歩けば問題ありません。



鞍部に下りてからは、再び杓子岳の頂上目指して登り返します。杓子岳の斜面は崩れやすい小さな岩が重なっており、足運びに気を使います。通常は頂上を通らず、巻道を使って白馬岳を目指すようですが、先ほどのスゴイ景色を見た以上、頂上に向かわないわけにはまいりません！




おおっ！やっと頂上が見えてきました。



先ほど白馬鑓ヶ岳の頂上から見た通り、長野県側の切れ落ち方がハンパなく・・・・きょ、きょわい・・・・！



10：49　杓子岳山頂到着（標高2,812ｍ）
山頂は学生の団体さんでいっぱいでしたので、早々に下山します。



この先続く尾根道の向こうに、今日の目的地白馬岳頂上宿舎の建物が見えてきました。




振り返ると団体さんは、白馬鑓ヶ岳方面へと行進していきます。




左のピークを越えれば、今日の予定は終了！なんですが・・・最後の登りがけっこうキツイ！




まさか、さっきの団体さんではないと思いますが・・・へろへろおじさん・・・・学生の団体さんに、ぶち抜かれます！
あざーっす！こんちわーっす！あざーっす！こんちゃーす！あざーーーすっ！



眼下には大雪渓が見えます。登ってくるハイカーさんたちが、アリのように見えます。たしかにすごい雪渓ですね～



傾斜もキツくて、大変そうです！




12：10　白馬岳頂上宿舎テン場到着
今日もヘロヘロで到着しました。受付開始まで20分ほどありますので、先にテントを立ててしまいましょう。



今日も、逆回り作戦が功を奏し、大人気テン場にもかかわらず、場所は選び放題でした。高台になっている奥の端っこに設営しました。後から回りを埋められる心配のないナイスポジションです。ただ、地面は鑓温泉のテン場よりはるかに固く、ペグがなかなか入って行きません。打ち込む角度を調整しながらなんとか四隅は打ち込みましたが、張り糸は大きな岩で固定するのが精いっぱいでした。天気予報では今日の夜から明日の朝にかけて風が強まる予報でしたので、地面への固定は念入りに行いました。



そうこうするうちに受付が始まりましたので、タグをもらって、700円の幕営料と300円のトイレ＋水使用料を支払います。



そのまま、宿舎本館へ向かい、食堂でカレーうどんと生ビールと枝豆を注文！うどんはめちゃめちゃコシがあっておいしいです。ただ・・・今日の晩飯もカレーだったのを忘れていました。まぁいいでしょ。

し、し、幸せすぎる！（本日2回目）



ほかの皆さんもケーキを食べたり、高校野球を見たり、思い思いに休息されています。



ワタシはひたすらビール～枝豆～うどん～ビールのループを繰り返し・・・



もう一杯生追加して・・・またまた千鳥足でテン場に戻ります。




外に出ると、これからさらに上の白馬山荘を目指すハイカーさんもいっぱいいらっしゃいました。




見上げた先には白馬山荘。まさに天空の要塞ですね。1000人近く宿泊可能という超ド級の施設です。



14：08　テン場戻り
テン場に戻ると、一気にテントが増えていました。100張り可能とのことですが比較的平坦な場所はほとんど埋まってきています。
テントの中でゴロゴロしてたら、今日も2時間30分ほど寝てしまいました。



はっ！いかんいかん。慌てて晩ごはんを作ります。今日はフリーズドライのペペロンチーノと服部幸應さんの「香るチキンカレー」です。このペペロンチーノなかなかイケますね。ビールとの相性ピッタリです。



その後、テントの中で携帯の充電をしたり、



明日のルートを確認したり、足は痛くはなってないものの念のため湿布を貼ったりしていたら・・・・
また眠気が襲ってきましたので、耳栓をして眠りにつきました。


し、し、幸せすぎるっ！（今日、3回目・・・）



3日目に続く・・・


ちなみに今日のログです。



沿面距離7.7ｋｍ
累積標高（＋）1543.8ｍでした。

・・・・・・・の割には・・・・疲れたなぁ・・・・・