2015.8.10 雲上の神泉より 白馬三山～白馬大池～乗鞍岳縦走（ソロ） 1日目

北アルプス、後立山連峰にある白馬鑓ヶ岳（しろうまやりがたけ）の中腹、標高2,100ｍ地点より湧き出す「雲上の神泉」と言われている鑓温泉（やりおんせん）。盆休みに入って、愛するカミさん（ココ重要！試験に出ます。）より、やまごもり3日間もの恩赦が発令されたので、今回はこの鑓温泉から白馬三山を縦走し、白馬大池から栂池に降りる2泊3日の山行を決行することといたしました。

実はこのコース、リンクさせて頂いているあつぷりさんが去年の7月に白馬三山へ遠征された際のプランをまるパクりさせて頂きました。あつぷりさんは天候悪化で変更を余儀なくされたものの、そのレポは、温泉アリ・絶景アリ・天空の縦走路アリ・ビール、枝豆たらふくアリ・山ガールあり！？（こ、これはどうだったか・・・むふっ）　まさに男のロマンってやつを具現化した、とってもけなるい（福井方言＝うらやましい）山行でした。いつかはワタクシも・・・この・・・酒池肉林ハイク決行したる！とチャンスを伺っていたのです。むふふふふっ





白馬三山（しろうまさんざん）とは、富山県と長野県にまたがる3つの山

①　白馬岳（しろうまだけ　標高2,932ｍ）
②　杓子岳（しゃくしだけ　標高2,812ｍ）
③　白馬鑓ヶ岳（しろうまやりがだけ　標高2,903ｍ）

の総称で、山域は中部山岳国立公園に指定されています。「しろうま」の名前の由来は、春になると山の斜面に雪解けで黒い「代掻き馬（しろかきうま）」の雪形が現れることから「代掻き馬」→「代馬」→「しろうま」となったものとされています。
ただ現在では山と高山植物の名前以外白馬を「はくば」と呼ぶのが一般化しており、駅や村名も「はくば」が正式名称となっています。かつてスキーにハマっていたときは、シーズン中何回もこのエリアを訪れましたが、白馬＝「はくば」としか思っておりませんでした。
白馬三山＋白馬大池・乗鞍岳を縦走する場合、栂池からゴンドラとロープウェイを使って約標高1,900ｍの栂池自然園まで登ってしまい、そこから乗鞍岳、白馬大池と回り、白馬三山を目指す反時計回りルートが人気です。白馬三山だけの場合も、猿倉から大雪渓を登って、まず白馬岳に行き、それから杓子岳→白馬鑓ヶ岳と縦走し最後に鑓温泉という回り方が一般的なのですが・・・・
まるっきりメジャーコースを逆回りすることになります。はたして吉とでるか、凶とでるか？



　
9日 22：05　前夜に福井出発→10日1：15　糸魚川ＩＣ通過→2：40　白馬村猿倉荘前駐車場着
計画では、3日目は栂池に降りてくる予定のため、本来なら車は八方第二駐車場あたりに停めといたほうがいいのですが、途中悪天候になった場合、大雪渓からのエスケープで、登山口の猿倉戻りも考えられるため猿倉まで車を走らせました。猿倉荘前の一般駐車スペースはとても狭いため、すぐ一杯になるとのことでしたので、最悪八方戻りも考えましたが、奇跡的に1台分スペースが空いていましたので車をすべりこませます。すぐさまエンジンを切ってしばし夢の中へ・・・・。




5：20　起床。
もうちょっと早く起きるつもりがダメでした。買っておいたコンビニおにぎりとサンドイッチで朝食。




他のハイカーさんたちも、続々と登山口へ集まってきています。



猿倉荘前の一般駐車スペースはこれくらいしかありません。お盆の時期、1台分あいていたのは奇跡かも・・・。



猿倉荘宿泊の方や、遭対協の方々の駐車スペースはパイロンで区切られています。



白馬駅や八方からタクシーで来られる方もいっぱいいらっしゃいます。八方からのバス運賃が930円ですので、5人で相乗りするとバス代より安くなるようです。




山荘前では、遭対協の方が登山届を確認して、ルートのアドバイスをして下さいます。大雪渓ルートで白馬岳を目指す方には主に落石に対する注意をされていました。ワタクシのルートに対しては、鑓温泉から鑓ヶ岳頂上へ向かう途中の鎖場に気をつけることと、3日目距離的に長くなるので早めに出発するようにアドバイスを頂きました。山を熟知した方と生の声でお話できるのは安心感が違いますね。ほんとうに有り難いです。




キレイなトイレでＯＰＰ対策にも万全を期しますが・・・・突然の大トルネードが発生しないことを祈ります！



6：03　登山開始
途中までは、大雪渓ルートを通られる方と同じ道を歩きます。




気温は20℃ですが、天気もいいので暑くなりそうな気がします。




7月に登った燕岳のときほどではありませんが、それなりに数珠繋ぎで登って行きます。




6：22　鑓温泉方面分岐
ほとんどの方が大雪渓へと向かわれますので、この先はマイペースで歩くことができそうです。




道幅は狭いですが、緩やかな傾斜が続きます。




今回のザックは水分抜きで約19ｋｇでした。
コース上に水場はあるものの、夏場なので2.5Ｌは持ち歩きます。
合計21ｋｇ強はなかなかシンドイです。
通常のテン泊装備に加え、今回は雪渓歩き用のアイゼンが追加になってるのと、2泊3日ということで着替えや防寒の衣類を多めに持ってきたのが20ｋｇオーバーになってしまった原因のようです。防寒具は夏とはいえ、なかなか割り切って削れないです。アイゼンも4本とか6本爪は持っていないのでこの冬大活躍した12本爪です。



　
足元にはツルアリドオシ（蔓蟻通し）やカニコウモリ（蟹蝙蝠）が咲いています。




途中見つけたカタツムリの赤ちゃんのように、ゆっくりゆっくりしか歩けません！



気温もじわじわと上がってきています。




この頃から眺望も徐々に開けてきて、遠くにアルプスらしい白い山肌が見えるようになってきました。
再びアルプスに来れた喜びで気持ちがぐんっと高まります。それにつれて足取りも軽く・・・・はなりません（汗）




途中、サンカヨウ（山荷葉）の実がいっぱい生っていました。食べることができ、甘いらしいので試しに1個食べてみました。



・・・・・・・・・・・・・・。
えー、おススメ・・・できません。




日差しはますます強くなってきました。道も徐々に険しくなってきます。




7：51　水場到着。
登山口から2時間弱、ちょうど一本目のアクエリが空になったところだったので、補給します。とっても冷たくって美味しい水です。




日当たりの良い斜面には、シモツケソウ（下野草）


　
ウツボグサ（靫草）やシナノオトギリ（信濃弟切）などたくさんの花が咲いています。




8：14　小日向のコル通過
鑓温泉までの道中、ちょうど半分くらい過ぎたところでしょうか。



木道を越えて行きますと俄然見晴らしが良くなります。



明日縦走する予定の白馬鑓ヶ岳や杓子岳の稜線もくっきり見えています。




おおおっ！カメラのズームアップで、中腹には白馬鑓温泉小屋が見えました。スゴイ斜面にへばりつくように立っています！
はやくあそこで温泉に入りたーーーい！
目の前にぶら下がったニンジンパワーで今回は一時的に足が軽くなりました。
よく見るとテン場には赤いテントが一張りあるようですが、なんとか余裕をもってテントが張れそうです。
鑓温泉のテン場は10～15張り程度しかスペースが無いらしいので、とても心配していたのですがなんとかイケそうです。




8：54　三白平通過
でも、まだ1/3残っているのか！山荘見えてからが遠いなぁ～



　
さらにミヤマキンポウゲ（深山金鳳花）やオタカラコウ（雄宝香）の咲く登山道を進むと、



雪渓が見えてきました！ルートを示す、赤いベンガラ（弁柄・紅殻）が、ここからでもよく見えます。




対岸からは何人ものハイカーさんが渡ってきますので、しばらく待ちます。



雪渓歩きに慣れていない方は途中で足が止まってしまうことも・・・




ステップは明確で、傾斜も緩いのでアイゼン無しでも問題なしです。



9：25　落石沢通過
雪渓を過ぎると、次は涸れた沢を横切ります。



「落石沢」という名前のとおり、いかにも「さっき落ちてきました！」と言わんばかりの大小の岩がごろごろしています。マッハで通り過ぎます！



続いて「崩沢」
ここもヤバそう！再びマッハで通り過ぎます。




さらにもっとヤバそうなデカい涸れ沢出現。頭上からガラガラッ、ガラガラガラッという音が絶え間なく聞こえてきます。
マッハ・ゴー・ゴー・ゴーで通り過ぎます！マジ怖いっす。



追い打ちをかける雪渓トラバース再び。



雪の上でも全然涼しくないんですけど・・・・
暑さと重いザックのバランス取りでへろへろになってきました！



雪渓と雪渓の間に、顔を見せる夏道の先に・・・



もういっちょ！さっきより傾斜も急で距離も長いので、慎重に慎重に。ただここもステップは明確なのでアイゼンまでは必要ありません。



10：08　やっと雪渓が途切れて水の流れる沢が現れました。


　
いやいや、水じゃありませんね。岩に湯の花がこびり付いてますので、もうこれは温泉の湯です！




10：19　白馬鑓温泉到着
今日の行程がここでお終いで・・・ホントに良かった！計画段階では、ちょっと物足りないかななどと思っていたワタシが大馬鹿でした。





幸いテン場も途中で確認したとおり、デカいテントが一張りあるだけで場所選び放題です。
ハイ・シーズンの超難関テン場でこの余裕！通常の人気コースを逆回りするというあつぷりさんの神プラン・・・完璧ですっ！


　
このまま温泉に飛び込みたい気持ちをなんとか抑えて・・・




受付を済ませます。テン場使用料1,000円＋温泉入浴料500円をお支払いします。
・・・あ、あと缶ビールちょうだい・・・・
テント設営して、温泉にはいるまでガマンしようと思っていたルービですが、受付横の冷蔵庫に並んでるのを見た途端に口走っていました。




か、かんぱ～い！
テントもなにもない虚空のテン場で飲むビール。今までの人生の中で5本の指に入る旨さでした。（オーバーでもなんでもなく）



すっかりほろ酔い気分でテント設営開始。この鑓温泉のテン場も明日の白馬岳頂上宿舎のテン場も地面が固くてペグが入りにくいとのことでしたので持参した、ごっつハンマーと鋭く強いペグ。こ、これもザックが重かった原因の一つですね。
その甲斐あって、固めの地面にもグイグイ入って行きます。よーしよしよしよし！
天候急変時の暴風に備えループではなくベルトの方で固定してみました。テントの浮き上がりはより抑えられそうな気がするんですけど。


　
テントは去年の白山テン泊のとき購入したモンベルのステラリッジテント2です。




　今回、テン場の一番崖よりの奥にすごく平らなスペースを発見したので設置しました。ほかのハイカーさんが横や後を行き来する心配もないですし静かに眠れそうです！そう、これが小屋泊ではなかなか実現できないんですよね～




100均で買ったサンダルに履き替え・・・いざ！温泉へ！
このサンダル軽くて収納しやすくて、でも意外とグリップするというナカナカの優れものでした。でも指先が丸出しなので、テン場の中とはいえ足運びは超ソフトな動きが要求されます。


　
くぅ～酒池肉林間違いなし！
また受付でビールを購入してきました。今度は・・・500で！



おっ、お先におひとかた入ってらっしゃいますね。おじゃまします。




か、かんぺ～～！
さらに酔いが回り、呂律が回ってませんが・・・極楽極楽・・・



ひと缶空けるころには、先客の方も上がられたので、マッハでセルフ撮影！
成熟した男の色気ってやつがプンプンしてますな。えっ？加齢臭？




千鳥足でテントに戻る頃に、ようやくテントの花が咲き始めました。




テントの中で、明日の天気をチェックしてみます。明日も明後日もＡが並んでるじゃないですか・・・・ホンマかいな？
ていうか、ここって、ドコモもソフトバンクもバリバリなんですよね～



と、ここで脱衣所にタオルを忘れてきたことに気づいたのでとりに戻ってみると・・・



ずいぶん混みだしてきました。



安心なんてできませんよ。穿いてませんから！




そして露天風呂の下に足湯があるんですが・・・・




こーゆー位置関係なものですから・・・女性は目のやり場に困ってらっしゃるようでしたね。




ちなみに女性専用の温泉もちゃんとあります。露天風呂が女性専用となる20：00～21：00の間はこっちが男風呂になるようです。
でも、この時間までとても待てない、水着を着た女性陣が、露天風呂に入り始め・・・老若男女入り乱れての、まさに酒池肉林状態が展開され始めていました。いやいや女性陣、男どもよりよっぽどキモが据わっております。



わ、わたしですか？・・・・永遠のチェリーボーイと呼ばれていることご存じないですか？
と、とてもあの湯船の中には入れませんよ！
テントの中で悶々としてましたら・・・
つい3時間ほど寝てしまいました！




はっ！ふと気が付くと・・・もう16時近く！
いつのまにか、周りのテントも満開となりました。




急いで晩ごはんの準備です。軽量化のためドライフーズ中心で揃えましたが、なぜか来る途中の有磯海ＳＡで富山ブラックラーメンを購入していたワタシ。しかもウエットな生めんタイプです！これもザックの重さを・・・・今夜はそれと、服部幸應さん監修の「香るグリーンカレー」にしましょう。



アルファ米にお湯を注いで15分待つ間に、ブラックラーメン作ります。



できましたー！



グリーンカレーも10秒でできましたー！



アルファ米ですがカレーにしちゃえばそんなに味も気になりません。




と、ここまで食べたとこで、気が付きました。ブラックラーメンはお汁を飲み干すのがツラい！とはいえ、お汁を残すのはご法度ですから・・・・・



わかった！ブラックラーメンのお汁をつまみにビールを飲めばいいのだっ。また500を買ってきました。このクドさはおつまみにピッタリ。絶妙なコンビネーションで一滴も残さず頂きました。



日が落ちると外の気温は一気に下がりますが、テントの中は22℃
シュラフに潜り込んでいると暑いくらいです。




外はまだまだ賑やかしいようですね。でも、昼間3時間近く寝たにもかかわらず眠気が襲ってきました。
こんなときの心強い味方・・・耳栓をした途端、静寂な夜が訪れました。

山でこんなに好き勝手に眠れるなんて！

寝返りも自由にうてるなんて！



そして・・・こんなに・・・・しゅち・・・にく・・・り・・・・・・・zzzz・・・



2日目に続く




ちなみに今日のログです。



沿面距離　7.3ｋｍ
累積標高　1178.6ｍでした。

・・・・・・・・・・の割には疲れたなぁ～。