2015.7.19～20 女王様は気まぐれ 燕岳～常念岳縦走 （ソロ） 2日目 大天井岳～常念岳～一の沢

新しい朝が来た　希望の朝だ　

喜びに胸を開け　大空あおげ

ラジオの声に　すこやかな胸を

この香る風に　開けよ

それ　イチ・ニー・サン！

「ラジオ体操の歌」より



とゆうわけで、二日目の朝がやってきました。昨晩あまりにも宿泊の方が増えたため夕食は2回に分けてとることになりましたが、朝食も分割となりました。4：00からと5：00からの二回です。しかも4：00からは早い者勝ちということで、皆さん4時前から食堂に並んでおります！
ワタシも4時前から目が覚めてしまい、（結局どれくらい寝れたのかはよくわからず）顔を洗ったのち列に並びます。




食堂が開き、なんとか4時からの朝食にありつくことができました。




朝食は焼鮭、卵焼き系のナニカ、ひじき、とろろいも、プチトマト、味噌汁、味付け海苔と、これまた充実したメニューです。
たいへん美味しく頂けました。




朝食を終えるとすぐ旅立たれる方も結構いらっしゃいました。




4：35　防寒着をしっかり着込んで外へ
ワタシはザックを小屋に置いたまま、日の出を見に外に出ました。外は雨こそ降ってないものの、昨日同様の深いガスガスに覆われ、風も強くかなりの寒さです。やっぱり昨日の夕食時、支配人さんが言っていた天気予報のままなんでしょうか？
あきらめムードが漂う中、それでも皆さん日の出を待ちます。



すると、どうでしょう！皆さんの願いが空に届いたのか、ガスが動き、ほんの少し晴れ間が見えてきました。
こんな少しでも歓声があがります。皆さん青空に飢えてますもんね～




あとは、日が登るにつれて、どんどんガスが晴れてきました。



小屋の周りも、朝焼けに染まってきました。これこれ！コレが見たかった！




朝露が、黄金色に輝いています。




ますます天気が良くなってきましたので、小屋前から大天井岳頂上（標高2,922ｍ）に向かいます。小屋から山頂までは岩山を10分ほどで到着することができます。







山頂にいる人たちの影が、槍ヶ岳方面の斜面にかかるガスに映し出され、おぼろげながらもブロッケン現象が起きていました。



頂上にいるハイカーさんたちも自然が造りだす荘厳なショーに時間を忘れて見入っています。




昨日雨の中歩いてきた、燕岳からの縦走路や、




表銀座縦走路（喜作新道）を通っての槍ヶ岳方面は稜線が雲に隠れており、キレイに見通すことが出来ません。
雲がとれてこないかなとしばらく山頂で粘りましたが、あまりの寒さに我慢できず下山しました。




今日縦走する予定の常念岳方面は稜線もクッキリで、気持ちが昂ぶります。
晴れてるって・・・・素晴らしい（涙）




大天荘に戻り、頼んでおいたお弁当を受け取ります。




6：27　大天荘出発
夜明け前はかなり冷え込みましたが、日が登ってからは風も弱まり、気温も上がってきています。16℃の表示ですが、高すぎるような気がします。すこし体温を拾ったのかもしれません。





さあ、常念岳に向かって進みましょう！




しばらく歩いたとこで振り返り、大天荘にお別れを。お世話になりました。また来ます！




朝日に照らされ、自分の影がハイマツのなかに長く伸びています。



これから歩く縦走路と稜線。その一番奥に常念岳もクッキリ見えています。




そびえ立つような斜面と残雪が、北アルプスを縦走していることを実感させてくれます。




遠く安曇野の町も見渡せ、流れる川や建物の屋根が朝日に反射してとても美しいです。




これから歩いて行く縦走路がどこまでも続いています。た、たまりません！




足元にはミヤマコゴメグサ（深山小米草）



前方に東天井岳（標高2,814ｍ）が見えてきました。




ずっと右手に見え続けている槍ヶ岳の穂先にかかる雲も徐々にとれてきました。



コンデジのズームアップで槍の穂先がこんなに近くに！その迫力と険しさが伝わってきます。
ほんとにこんなとこ登れるんでせうか？




縦走路は東天井岳の手前で一旦鞍部に下り降ります。



気温は14℃　出発のときより少し下がってます。気温が低いせいか虫は少なめですが、ハイマツ帯のあたりは虫よけを塗ってないとやはりブンブンうるさいので、顔やカラダ中に噴霧しています。とくに顔にも噴霧しとかないと耳の穴とか攻めてきますので注意が必要です。




このあたりではコマクサ（駒草）の群生に再び出逢うことができました。濡れたコマクサも風情がありますが・・・女王様は晴れも似合いますです。ハイ。



今いる常念山脈から見てもこんなに迫力があるんですから、喜作新道から槍ヶ岳を見たらもっとスゴイんでしょうね～




東天井岳直下に常念岳への標識が立てられています。




振り返ると今降りてきた2832のピーク



ここで東天井岳の頂上から降りてきたパーティーに話を伺うと、急登に見えるがそれほどでもなく15分かからずに登れるとのこと。
絶対登ったほうがいいよ！と勧められたので行ってみることにしました。




確かに見た目ほど急ではなく、楽に登ることができます。



うしろからも女性ハイカーさんたちがガシガシ登ってこられます。
ソロらしき女性の方も非常にたくさんお見かけいたしました。




足元にはハクサンシャクナゲ（白山石楠花）



ふと振り返ると・・・・・富士山！
これですね、先ほどのパーティーの方が「絶対登った方が・・・」とおっしゃっていたのは。




富士山やお花の撮影に夢中になっていたら、後続のハイカーさんたちにぶち抜かれていました。




東天井岳山頂(標高2,814ｍ）からは、昨日ガスガスに覆われていた燕岳（標高2,763ｍ）や燕山荘（標高2,712ｍ）、昨日歩いてきた稜線をくっきり確認することができます。




再び東天井岳を降り、常念岳を目指します。いったんハイマツ帯の中を下り降ります。昨日は風雨の中、せめてライチョウに出逢えないか目を皿のように捜していたのですが、天気が悪すぎてもダメなようで、まったく姿を見ることはできませんでした。
今日も今のところ影も形も見つけることは出来ていません。極秘ミッションその②はライチョウの親子を捜せ！なんですけど・・・遂行は難しそうです。




どこまでも続く縦走路。まさに天空の回廊散歩です。




途中、チングルマ（稚児車）の実を見つけました。
この実の形が、子供の風車（かざぐるま）＝稚児車（ちごくるま）に見えることから転じてチングルマと名付けられたそうです。




鞍部まで降りて、ひと休み。辿ってきた道を振り返ります。



　
天山荘を出て、まだ2時間ほどですが、もうお腹が減ってきたので早弁と致します。鞍部の広場で山荘で作って頂いたお弁当を広げます。鮭・錦糸卵のちらし・昆布巻き・鰊の佃煮・野沢菜・梅干し・みょうが等が詰まったおいしいお弁当でした。




雲の隙間から下界が見えます。なんだか暑そうですね～




お腹が膨れたので、常念岳に急ぎましょう。かなり山容がはっきりしてきました。なかなかの険しさのようです。




標識に沿って横通岳（よことおしだけ　標高2,767ｍ）を回り込むと・・・




眼下に常念小屋（じょうねんごや）が見えてきました。




日本アルプス常念小屋は、日本百名山の一つ常念岳と横通岳の鞍部「常念乗越（じょうねんのっこし）」標高2,450ｍに1919年（大正8年）建てられた90余年の歴史ある山小屋です。




9：09　常念乗越到着



　
晴れていれば槍・穂高が真正面に見渡せる素晴らしいロケーションに、テン場があります。




山荘には信州大学　医学部山岳部　常念診療所も併設されており、今年は7/18（土）～8/23（日）までの期間、開所されているそうです。ボランティアの医師と看護師、そして信州大学医学部山岳部の学生さんで構成されるスタッフで登山客の病気・怪我の治療にあたっています。とっても心強いですね。




常念小屋が清掃中だったため、テン場のトイレをお借りしました。チップ100円が必要です。



9：31　本日最大にして最後のモンスター常念岳（じょうねんだけ　標高2,857ｍ）に備え、ドーピング剤を摂取し、登り始めます。



急登の岩道が続きます。常念岳という名前は、毎年暮れに常念坊という山姥が酒屋に酒を買いに来たからという説や、坂上田村麻呂遠征時に重臣の常念坊がこの山に逃げ込んだからという説などいろいろあるようです。春には前常念岳の斜面に、とっくりを手にした常念坊の雪形が現れるそうです。まさに安曇野のシンボル的な山なんですね。







なかなかの高度感ですが、マーキングは明確なので、足場を確かめながら慎重に登れば問題ありません。
ただ上からも下からもけっこうな数のハイカーさんとすれ違いますので、不用意な足運びによる落石を起こさないように気をつかって登ります。



麓から見えていたピークは実は山頂ではなく、その先にホントの山頂があります。




偽ピークの先からは絶景が広がります。




10：17　常念岳山頂到着（標高2,857ｍ）
常念岳から蝶ヶ岳へと続く稜線も見えます。




頂上は狭いのですが、少し降りたとこに槍・穂高の見事な眺望が楽しめるスペースがあります。



ここからの槍ヶ岳も見事な山容です。



蝶ヶ岳へと続く縦走路。
ヘイホーさん・・・なかなかのヤセっぷりなので・・・今日はヤメときます（笑）




さて、景色も堪能しましたので、下山しましょうか。




11：05　　常念乗越戻り




山小屋でタクシーを呼びます。ドコモはバリバリに繋がるので、地元のタクシー会社に電話して
3時間後に一の沢に来てもらうよう頼みます。下山場所の一の沢にはバス等の定期便は来ていませんので、どうしてもタクシーに頼らざるを得ません。




名残惜しいですが、感傷に浸っているヒマはありません。3時間後のタクシーに間に合うよう降り始めます。




ミヤマアキノキリンソウ（深山秋の麒麟草）で吸蜜するミヤマモンキチョウ（深山紋黄蝶）
翅の縁毛、頭、脚などがピンク色に輝く美しい高山生息亜種です。羽化したばかりなのか、翅がシワシワ（笑）です。



下山道は定期的にベンチが設置されていたりして、十分整備されています。


　
ところどころ木の根の大きな段差や地滑りの跡などもありますが、ゆっくり進めば問題ありません。


　
常念乗越から1ｋｍ、30分ほど下ったあたりに水場があります。ここからは、沢に沿って降りて行きます。ときどき沢自体を歩くところもあり、清涼感抜群です。ただし虫除けは念入りにしといて下さい。



斜面にはセンジュガンピ（千手岩菲）や



クルマユリ（車百合）



オオバミゾホオズキ（大葉溝酸漿）などなど


　
沢沿いの斜面に、お花と虫たちの楽園が続きます。



14：19　山の神　参拝
一の沢登山口から500ｍほどのところに、トチの古木に祭られた祠があります。今回の山行の無事を感謝します。



14：26　一の沢登山口到着
タクシーとの約束だった、3時間になんとか間に合ってホッとしました。お花がすごくて、立ち止まってばかりだったのと、沢が意外に歩きにくくって思ったより時間がかかってしまいました。



運転手さんに中房温泉の駐車場までお願いし、それまで爆睡しようかと思っていましたが・・・・
とっても話し好きな運転手さんで・・・・


中房温泉まで話が途切れることはありませんでした・・・（感涙）
でも、おかげで安曇野のいろんなことを知ることができました。
車は大型のワゴンタイプで、広い室内に一人っきりという超贅沢な殿様行脚です。へたすると槍部屋より広かったかも？



　
15：27　中房温泉第３駐車場　戻り
一の沢からは1時間ほどでした。料金はメーターで10,000円を超えていましたが、遠距離割引をして頂いて、9,990円をお支払いしました。南安タクシー(有)さん　ありがとうございました。
今回中房温泉まで戻りましたので、ここまで費用がかかってしまいましたが、当初の予定通り、麓のシャクナゲ荘の無料駐車場に停めていれば、一の沢からタクシーで戻るのにおよそ4,700円。往きのシャクナゲ荘から中房温泉まで定期バスの1200円を足しても合計5,900円で済みます。
やはりこのコースを土日縦走する場合は、駐車場の確保の点でも、経済的な点でも麓のシャクナゲ荘無料Ｐを起点としたほうが良さそうですね。




女王様の気まぐれに翻弄された２日間・・・


冷たくて・・・・厳しい・・・・

でも

美しくて・・・優しい・・・・



ああっ！・・・女王様っ・・・・もっともっと～




さあ、ツギはどの山に「もっともっと」してもらおうか？




ちなみに２日目はＧＰＳの受信設定を間違えてしまってログがとれていませんでした。（すいません！）
ネットに公開されている、ほぼ同じコースを歩かれた方のデータを断面図のみ載せておきます。
アップダウンのご参考まで。