2018.10.19～20 悠久の流れとともに 欅平～水平歩道～阿曽原温泉～下の廊下～黒部ダム その3 （ビール好きお仲間と）

　一年ぶりの水平歩道をハイクし、お仲間と合流し
　念願だった阿曽原温泉に浸かることができました。
　いよいよ今日は、下の廊下（旧日電歩道）を通って黒部ダムへと向かいます。
　その2からの続きです。





　　　　（ヤマレコの便利機能「ヤマプラ」の画面より抜粋）

今日のコースは、阿曽原温泉から仙人谷ダム、Ｓ字峡、十字峡、白竜峡を越えて最終的に黒部ダムへと向かう
総距離14.7ｋｍ・コースタイム8時間45分のロングコースとなります。





　3:45　起床
　この時期、ややオーバースペックなポリゴンネスト9×6のおかげもあって、
　寒さで目が覚めることもなく眠ることができました。
　最近は、加齢の為かカラダ（特に下半身）の血流が悪く・・・・・(;´д｀)
　足先とかがすごく冷えるので、このシュラフでちょうど良かったです。
　テントの換気窓も閉め切っていましたが、ほとんど結露も無く快適でした。





　お隣のゲンジさんも、オープンなテラスで優雅なブレックファストを満喫中（笑）
　朝食の後は、もちろんOPP（おなか・ぴー・ぴー）対策です。
　テン場のおトイレ、外観・建物はボロッちいのですが、
　おトイレ自体はピッカピカで水洗ですので、安全・安心に対策を遂行できました。






5:30　阿曽原温泉　出発
すっかり日の出が遅くなり、まだ辺りは真っ暗です。



お世話になりました。素晴らしいテン場と温泉でした。
テン場のテントもいくつか無くなっていましたし
下足箱の登山靴に付けられていた番号タグが何枚か外されているので
ワタクシ達より早出したハイカーさんも結構いらっしゃるようです。






小屋から20分ほどかけて、水平道の高さまで登り返します。
朝一から急登となりますので、なかなかシンドイのですが
登り切る頃には、ずいぶん辺りが明るくなっていました。




足元の悪いトコロや




急激な下りもありますので、慎重に進みます。





小屋から1時間ほど歩くと、突然前方に巨大な建造物が現れました！
とてもこんな山奥にあるとは思えない、立派なビルディングです。





建物には「関西電力　人見寮」の文字が。
どうやら近隣のダムや電力設備での仕事に従事してらっしゃる方の寮のようですね。
そしてこの先は、施設の中を通らせてもらうルートになっていきます。





寮の隣にある、巨大な鉄柵の脇にある小さな扉から施設内に入っていくようです。




ナカナカこんな機会はありませんから・・・・・けっこうドキドキです（笑）





狭い坑道に張り巡らされているパイプが、ものすごい熱気を帯びています。
カメラのレンズも一瞬で曇ってしまいました。





まさに・・・・高熱隧道っ！
以前読んだ、吉村昭さんの小説が思い出されます。






　　　　　　 （ゲンジさん撮影画像拝借）
6:42　仙人谷ダム　到着
およそ10分ほど施設内を歩き、ダムの堰堤を渡ります。





このダムを始めとする黒部峡谷の電源開発は
第二次世界大戦前夜、富国強兵の名のもとに300名以上の犠牲者を出しながらも、
国の浮沈をかけて文字通りの突貫工事が行われました。





静かな谷あいに、美しい湖水をたたえる今の姿からは想像もできないくらい
過酷で壮絶な困難の連続だったかと思われますが・・・・
今はただ、自然の猛威に立ち向かった人間の力に敬意を表し、
犠牲となった方々のご冥福を祈ることしかできません。





さらに仙人谷ダムから15分ほど林道を歩くと
前方に黒部川第四発電所が見えてきました。




まっ、見えてきたといっても、黒四発電所自体は地下に建設されていますので
送電線の出口しか見えませんが（笑）
直線距離で約10ｋｍ上流にある、この山旅の目的地「黒部ダム」から導水路を通ってきた水を使い、ダムとの545ｍの落差で発電しているそうです。





この辺りから、吊り橋を渡って、再び黒部川の西岸へ。





ゲンジさん、渾身のポーズっ！（笑）　




ええ、この吊り橋・・・・長いし、高いし、狭いし、揺れるし、結構怖いんですよ(;´д｀)





対岸に着いたら、高度を上げて、再び崖の道へ。





標高が徐々に上がってきたためか、木々の色づきが鮮やかになってきました。





思わず足を止めて、景色に魅入る時間が増えます。





7:46　Ｓ字峡　通過





黒部ダムまでは・・・・あと14.3ｋｍか・・・・・
まだまだ先は長いです。





7：50　半月峡　通過




谷側の岩は、足を乗っけたら崩落しそうっ！






昨日の水平歩道ほどは、谷底からの高低差はないのですが・・・・・
現実離れした高さの「水平歩道」より、リアルなヤヴァさが感じられる「下の廊下」の方がかえって怖いっす。（ﾟдﾟ|||）





幸い昨日の雨も上がって、木道も岩も乾いているので歩き易いですが・・・・・
これで雨でも降って濡れてたら、めちゃめちゃ怖いでしょうね～






緊張の連続なので、ところどころ休憩と行動食を取りながら進みます。





十字峡の手前で、今日初めて、黒部ダムから北上してきたハイカーさんとすれ違いました。
先行していた方々にも追いついてきてますし
今日は土曜日ですので、この後もっともっとすれ違いが増えてくると思われます。
焦って、早く先に進みたくなっちゃいますが、こういう時ほどより慎重に慎重に。






8：48　十字峡　通過





見事にクロスして、清流が流れ込むさまは、確かに圧巻です。






十字峡を過ぎると、木道が崩落して、新たにかけ直したところや




　　　　　　　（ゲンジさん撮影画像拝借）

滝打たれの荒行ポイントを越えていきます（笑）





　　　　　　（ゲンジさん撮影画像拝借）

ワタクシも余裕を見せていたら・・・・半身＆ザックもずぶ濡れっ！(;´д｀)
夏はちょうどいいんでしょうけど、今の時期はかなり寒くて、ツラいっす。





その後、紅葉は更に美しさを増し・・・・





着実に、黒部ダムへ近づいてきていることが感じられます。





9:54　白竜峡　入口通過






いよいよ、下の廊下のクライマックスです。





このエリアは谷底を流れる黒部川や、岩壁から流れ落ちる滝との距離がすごく近くなってくるため
勢いよく流れる水音が、響き渡ってすごい迫力！





加えて足場も狭いところが多く、頭上にも岩がせり出しているので、神経を使います。




谷に向かってスラブ状に傾斜が付いている岩もあります。雨が降ったら難易度は飛躍的に上がるでしょうね～





長い岩壁歩きが終わり、これで難所はクリアしたんぢゃない？と、
キヤパティーン暗黒卿のポーズで喜びを表現するゲンジさん（笑）
この2日後に、本物のキヤパティーン卿が、奥様とこの道を進軍っ！
大キレット・ジャンダルムに続いてこのエリアも鎮圧なさったそうです。(￣^￣)ゞ





ただ・・・喜びも束の間・・・(;´д｀)
再び、岩壁歩きの始まりです。
しかも、黒部ダムから北上してくるハイカーさんとのすれ違いが、俄然多くなってきました。
すれ違いは普通に歩く時の、何倍も神経と時間を使うので大変です・・・・がっ・・・・・？




・・・・・・このおじさんだけは、常に余裕（笑）




ワタクシなんぞ、ヒイヒイで番線にしがみついていたんですけどね～(;´д｀)






10：27　黒部別山沢　通過





ここは、ロープと足の掛けにくい小さな足場を頼りに、垂直に谷底まで降りなくてはならない難所なので
渋滞しています。ギャラリーの視線がプレッシャーになりますが、ここも焦らず、慎重に慎重に！






谷底まで下った後は・・・・当然岩壁の登り返し・・・（泣）
これまで歩いてきた疲れも溜まってきているので、皆さんヒイヒイです・・・・がっ・・・






やはり・・・このオジサンだけは、余裕（笑）
さすが今年も、水晶岳1DAY・100ｋｍウォーク・大キレット踏破などなど、
数々の伝説を打ち立てててきた歴戦の個体ですね～
体力・パワーともにハンパありませんっ！





いやぁ～、この高度感＆連続垂直ハシゴ・・・・きょ、きょ、きょわい・・・・





そして、これだけ混雑してくると、自分だけ先を急いでもリスクが増えるだけで全くムダなので
対向・先行する方々と声を掛け合って、譲り合いながら進んでいきます。
この時はすれ違いに慣れている様子の先頭の方が、対向のグループを適度に分けながら進んで下さったので
かなりスムーズにすれ違うことができました。






谷には、ネズミに齧られたティラミスのような（笑）
大きな残雪の塊が残っているところも！
きっとこの雪塊は、このまま溶けることなく、また新たな雪の下に埋もれていくんでしょう。





11:16　新越沢合流点　通過






この先の紅葉は、ちょうどピークを迎えようとしているようです。





ただただ・・・






見惚れるだけ・・・・・・・
ですよねぇ・・・・あつぷりさ・・・・んっ・・・・！？





スキ、スキ、ススキッ！
どぉーーーーーんっ！！！！







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・アレさえなきゃ、かっこいい人なんだけど（涙）






その後も、微妙にアップダウンを繰り返しますが、それまでの岩壁は少なくなり、河原を歩いていく感覚です。
ただ、この辺りから雨がけっこう降りだしてきました。





12:41　内蔵助谷出合　通過　
雨がさらに大粒になってきたので、ジャケットを羽織り先を急ぎます。





もうすぐ見えなくなる渓谷を目の前に、センチメンタルジャーニーな、あつぷりさん（笑）
ハードな山旅でしたが、終わりが近づいてくると寂しいもんですね。





最後の紅葉を、目に焼き付けて・・・・




　　　　　　　（あつぷりさん撮影画像拝借）

錦に染まる渓谷に、さよならです。





そして・・・・・森の向こうに、巨大な壁が・・・・・・。
ええ、そうです。
ついに・・・・・黒部ダムに辿り着きましたっ！





ただ、まぁ、ダムの麓に辿り着いただけで、最後にキツイ登りが待っているんですけどね（泣）





結局、急登と20分ほど格闘して・・・・




やっと黒部ダム駅の入口に到着しました。
も、もう・・・ヘロヘロです・・・・(;´д｀)





トロリーバスの道路脇を通って、駅の中へ。





　　　　　　　（あつぷりさん撮影画像拝借）

駅舎の中を、尋常ぢゃないアウェー感満載で歩くワタクシ達（笑）





ダムの上に出て、記念撮影を・・・・・





14：13　黒部ダム湖岸にてパチリッ
お疲れさまっしたぁ～ヽ(´∀`)ﾉ





帰りは15：05発のトロリーバスに乗って扇沢へ。
これまでの生涯で、トロリーバスなるものに乗ったことがなかったのでちょっとドキドキしましたが・・・・
いたってフツーのバスでした（笑）
トロリーバスの最終が、17：35発とのことですので、充分余裕はありましたが
万一、道中で不測の事態が起きて間に合わなかったときは、
黒部ダムを越えた先にある「ロッジくろよん」で、もう一泊することも考えていました。





扇沢には、あつぷりさん達が車の回送を依頼していた「日星」という業者さんが迎えに来てくれていました。
ここから回送した車の置いてある大町温泉郷の駐車場まで送ってくれるようです。






15:43　大町温泉郷駐車場　到着
そのまますぐ近くの「湯けむり屋敷　薬師の湯」で汗を流し、帰路につきました。









ここ数年来の憧れであった、

欅平～水平歩道～阿曽原温泉～下の廊下～黒部ダムへのロングハイク。

お仲間の皆さんのおかげで無事踏破することができました。

距離は長いものの、水平だしっ！（笑）と、少々甘く見ていましたが・・・・・

小刻みなアップダウンも多く、なにより緊張する場所の連続でしたので

最後はホントにヘロヘロでした。


幸い核心部を越えてから雨が降ってきましたので、ずいぶん助かりましたが

途中ですれ違った

北上して阿曽原温泉を目指すハイカーさん達は大変怖い思いをされたのではないかと思います。

南北とも観光地からスグにアクセスできるルートではありますが

それなりの経験を積んでからチャレンジすべき道だと、つくづく感じました。


まっ、あつぷりさんは疲れの色も皆無で、

最後の最後、黒部ダムへの急登も飛ぶように駆け上がっていかれましたし（笑）

今年のGWあたりまで骨折入院していたゲンジさんも

泣き言一つ漏らすこと無く・・・・・いや、すこーしあったかな？(´∀｀*)ｳﾌﾌ

ハードなコースを見事踏破なさいました。

この素晴らしい歴戦ハンター達と、2日間共に過ごせたことを幸せに思います。




最後に・・・・・

金曜日の休みを・・・こ、こ、心よく・・・認めて下さった（汗）・・・・社長さま・・・・

大変、大変ありがとうございました。


この・・・・

有給のながれで、来月も是非っ！ｍ(｡´≧Д≦｀｡)ｍ









さあ、ツギは・・・どの平日に、登ったロウか？







追伸：
お二人の歴戦ハンター様
最後は、黒部峡谷鉄道　宇奈月駅まで送って頂いて、深く感謝いたします。


　　　　　　（ゲンジさん撮影画像拝借）
19：16　宇奈月温泉着

酔っ払いのようなフラフラした足取りで

マイカーに向かうツギロウの手には・・・・

社長ではなく・・・カミさんへのゴマすりお土産ワインが握りしめられていた・・・・

こ、この流れで・・・来月も、是非・・・・