2016.8.7 岩と海のプチ殿堂 青葉山（ソロ）

「岩と雪の殿堂」と称される北アルプス・劔岳。
　
槍ヶ岳と並んで、いつかは登ってみたいと憧れてはいるものの、その難易度の高さは容易にハイカーを寄せつけません。
　ただ最近になって、ワタシの住む福井県にも、劔岳気分（あくまでも気分ですよ！）を味わえる里山があることを知り、早速行って参りました。
　きっかけとなったのは、ブログ「ほしとたんぽぽ」の花火さんのレポです。
　今年の若狭・三方五湖ツーデーマーチの頃からコメントをやりとりさせて頂いていて、ブログ更新を楽しみにさせてもらっている、ありがたーいお方なのですが、7月にUPされた渾身の山行レポにインスパイアされ、早速行って参りました。




そのお山の名前は・・・・青葉山（あおばやま：標高693ｍ）。
福井県大飯郡高浜町と京都府舞鶴市にまたがる、県境のお山です。
今から400万年くらい前の火山活動によってできたといわれており、典型的なコニーデ型をしています。
同じ福井県内とはいえ、ワタシの住んでいる福井市からは片道約140ｋｍ。富山県や高山市に行くのと変わらない距離です。
お山の名前だけは知っていましたが、正直どんなお山なのかは、よく知りませんでした。
「福井　山のぼり日記」と謳いながら、県外にお住まいの花火さんのレポをめちゃめちゃ参考にさせてもらいつつ（笑）、現地に向かいます。花火さん、ほんとにありがとうございました！




5：18　舞鶴若狭自動車道　三方五湖PA到着
なにせ現地までは距離があるため、自宅を4：00頃出発しました。途中のPAでOPP対策を済ませておきます。
先週、飲み会でエスニック料理を食べてから、どーもお腹の調子が良くないので念入りにしとかないと（笑）




舞若道を小浜西ICで降り、国道27号線を西に向かいます。おおい町に入ったあたりからキレイな円錐形の山容が、前方に見えてきます。その秀麗さから若狭富士と呼ばれているのもよく分かりますね。




途中で、県道21号線に入り、海沿いを進むと青葉山登山の拠点となる中山寺や青葉山ハーバルビレッジへの標識が現れてきます。



この辺りまで来ると、青葉山が先ほどまで見えていた単なる円錐形でなく、東西に峰のある双耳峰なのが分かります。





6：16　青葉山ハーバルビレッジ到着（旧青葉山青少年旅行村）
地元の食材を使ったカフェやワークショップ・キャンプサイト等と、44台停めることができる大きな駐車場もあり、理想的な登山の拠点なのですが・・・・



駐車場の開門が8：30から（ビレッジの営業は10：00～）なので、今日のような朝早い時間には利用できません。
（このことは、花火さんのレポで事前に承知済み）



山頂に至るルートは、この中山口から登るコースの他に、京都府側から登るルートも含めると5～6コースあるようです。今日は、ここからもうすこし西に行ったところにある、高野登山口から登ってみることにしましょう。





6：22　高野登山口到着
先ほどの中山登山口と同じようなルートマップと登山届BOX・ホワイトボードなどが備え付けられています。
周辺をウロウロしてみたのですが、いまひとつ駐車場が解らなかったので、ここの空きスペースに停めさせて頂きました。




本日実戦投入する、UL化計画　第二弾！
その①　モンベル　バーサライトパック40
容量40L、雨蓋・各種ポケット・チェストサポート・ウエストベルト・背面パッド・フレーム・3Dメッシュバックパネルを装備、ハイドレーションシステムにも対応しながら・・・710ｇというULっぷり！
今回、ザックをUL化するにあたっってグラナイトギアやゴッサマーギアなどの海外メーカーとも大変迷ったのですが、リオ・オリンピックにナショナリズムを刺激されまして（笑）国内アウトドアメーカーの雄！モンベルさんのULザックにしました。
mont-bell　というと日本ではメジャー過ぎて、いまいちピンと来ないんですが、アメリカではLigｈt＆Fastを標榜するカリカリのUL系ブランドとして捉えられているそうです。
実際、海外ブランドに身を包んだ日本人ハイカーさんが海外のメジャートレイルをスルーハイクすると、モンベルやアシックスが定番で、それらを身につけた現地のULハイカーさんから
「なんでおまえは日本人なのに、日本のものを身につけていないんだ？」と不思議がられることもあるようです。

だって・・・・グラナイトギア・・・・めちゃめちゃカッコいいんだもん（日本人の心の声）



日本人の心の声はともかく、それよりもなによりも、ワタシの心を大きく揺さぶったのが・・・・そのお値段っ！
ええ、10,900円（税別）なんですよ。このザック。
海外メーカーの1/3・・・ヘタすると1/4のお値段で購入できます。
が、がんばれ～ニッポン！！！




ちなみに、今日ザックに担いできたのは、仮想：北アルプス2泊３日のテン泊縦走装備。
衣類はフリースや起毛インナーなどの防寒着のみ、食事はドライフーズに限定し、40Lという容量に納まるように削りました。
いままでは65Lのザックにあれもこれもと放り込んできたので、これだけで足りるのかチト不安ですが・・・




荷物を入れたザックの重さは、水分抜きで8.15ｋｇ
今までは、ザックだけでも2.2ｋｇほど、荷物を詰めると15～18ｋｇありましたので、劇的に軽量化できました。
強風が吹く北アルプスの稜線を仮想して、テントはステラリッジとしましたが、風が弱い予報なら先日の白山南竜でデビューしたゴーストUL1の出動もアリです。
その場合はさらに減量できて、7ｋｇ台に突入できます。




かなり暑くなりそうな雰囲気でしたので、水分3Lを積み込みましたが、それでも11ｋｇ台に収まってます。
これくらいの重量ですと、ふだんの日帰りハイクとそんなに違和感がありません。ザックの大きさも自然で、左右に振られることもないです。




気温は26℃ですが、風が全く無いのと、湿度が高いようなので既に暑さを感じます。早朝の清々しさはありません。




登山口への標識に従って高野の集落内を歩いていきます。




集落を抜けると前方に鬱蒼とした森が現れました。どうやらこの奥が登山口のようです。




6：50　高野登山口到着
ここにも登山届を出すポストとルートマップが設置されていましたが、埃にまみれていてあまり使われている様子ではありませんでした。中山口ルートに比べると、マイナーなのかも知れません。




火山の噴火で出来た溶岩の山らしく、麓から大きな岩があちこちに顔を出しており、その上から竹や樹木が生えているという独特の景観です。




登山道脇には、クリオネみたいな変わったお花が咲いていました。名前は・・・分かりません？？？




登山口から竹林と杉林のなかを15分ほど登ると、中山口コースからの登山道と合流しました。




合流地点の看板には青葉神社まで1.9ｋｍの表示。




この先は、丸太の階段が延々と続きます。傾斜はそれほどでもないのですが、微妙に疲れが溜まります。




溶岩の山で生き抜く術なのか、岩に纏わりつくように伸びている樹木。




7：25　展望台到着




展望台からは、高浜の街並みと朝日に輝く若狭湾が一望できます。海水浴場にはまだ人影はありませんね。





気温は24℃と麓より下がっているはずなのですが、暑くて暑くて、すでに汗だくです。





中山口コースと合流したあとの登山道にはところどころベンチが設置されており、家族連れやご高齢の方にも配慮されているようでした。




展望台を過ぎると植生が変わり、ブナやコナラなどの広葉樹林が広がっています。まさに木々の青葉が美しい！




ワタシの山行には、なぜか必ずついてきてくれるセンチコガネ君も、今日はひと際輝いています。




250ｍおきぐらいに標識が立てられているので、道迷いの心配もありません。




7：45　馬の背通過




西側の斜面がスパッと切れ落ちており、なかなかの高度感です。
プチ劔岳っぽくなってきましたよ～♪




展望も見事です。




これは、ナナカマド？　
夏が始まったばかりだと思っていましたが、もう色づきはじめています。




7：55　青葉山　東峰　山頂到着（標高693ｍ）




かつては、夏になると麓から岩山が黄色に染まって見えるほど数多く自生していたオオキンレイカ（大金鈴花）ですが、心ない盗掘が続き絶滅寸前にまで追い込まれました。




現在は、わずかに残った野生の株に花粉を送り、種子を作って、地元の小中学生によって植え戻す活動が行われています。
いつか再び、山が黄色に染まるほど増えてくれるのを祈るばかりです。




山頂の気温は23℃　少し風があるので、幾分涼しい気がします。




花火さんのレポによりますと、この先にデンジャラスゾーンが待っているとのことですので、トレッキングポールをしまって西峰を目指しましょう。




デンジャラスゾーン突入に備えて、靴紐も締め直してっと！




8：04　西峰へ向けて出発
大岩の隙間をすり抜けていく感じです。




急峻な岩場には階段梯子が掛けられています。




おっかないからといって梯子にしがみつくようにカラダを近づけすぎると、足元が見えずスムーズに登れません。
むしろ手を伸ばし、なるべくカラダを梯子から離して登るようにすると足運びもラクになり、しっかり足裏に荷重もかかり、滑りにくくなるそうです。




とはいえ、少々ビビりながら階段を登り切ると・・・・




おおおっ！　こ、これが核心部ですねっ！！！
ほんの数メートルですが、左側がスッパリ切れ落ちた崖を右側のロープを頼りに渡っていくのはなかなかスリルがあります。




先ほどの馬の背よりも、高度感が増し、より眺望も素晴らしいものがあります。




進行方向には、これから向かう西峰へと続く稜線が見えています。
つい、今おかれている自分の状況を忘れて魅入ってしまいますね～




絶景と足元を交互に見ながら渡り切ると、今度はほぼ垂直に下降しなければなりません。
ロープが新しく、そして太いのが救いですが、ここは慎重に慎重に（手汗）




その後も痩せた岩尾根や・・・



長い急傾斜の階段を下っていくと・・・




最低鞍部にある岩のトンネルが現れました。かの泰澄大師が修行をしたと伝えられる大師洞です。文殊山にある胎内くぐりに雰囲気が似ていますが、はるかにこちらの方が大きいです。



その先は、再び西峰に向けて鬱蒼とした樹林帯を登り返すことになります。
この辺りは、昆虫の楽園です。一歩踏み出すごとにカゲロウ（蜻蛉）が目の前を飛び交います。




ジャノメチョウ（蛇の目蝶）の紋様もじっとこちらを見つめています。




8：30　青葉山　西峰　奥の院到着




社の後ろには目を見張るような巨岩がそそり立っています。どうやらこの上が西峰山頂のようです。　




ここも、ロープを頼りに垂直によじ登ります。岩に擦れて、微妙にロープがほつれてきているのが怖いっす（笑）




8：34　青葉山　西峰　山頂到着（標高692ｍ）




頂上からは、ダンノ鼻や広瀬鼻、正面崎と呼ばれる岬が突き出した内浦湾が、箱庭のように見渡せます。
海と空の青色が溶け合う、素晴らしい眺めです。




8：36　下山開始
さて、十分景観を堪能しましたので、そろそろ降りましょう。
あまりロープに頼らず、3点支持を意識して、ゆっくり降ります。
やはりザックが軽いので、あまりバランスを気にすることなく岩に取り付くことができます。
この辺は、やはりULの恩恵ですね。




いにしえより、修験道が盛んだった若狭三山の一つだけあって、あちらこちらに時代を超越した祠などを見ることができます。
このまま、西へ縦走すると、麓は京都府となり、由緒ある松尾寺（まつのおでら）に辿り着けます。非常に美しいお寺とのことですので訪れてみましょう。




松尾寺コースは、登りで使った高野・中山口コースよりも傾斜が急で、梯子場や・・・





木の根の大きな段差、ロープ場などが連続し、なかなか下り応えがあるコースです。




9：15　松尾寺コース登山口到着
頂上からは40分ほどで降りてこれましたが、1時間以上がかかったような気がするくらい長く感じました。




9：20　松尾寺（まつのおでら）到着
本堂は二重屋根の特異な形状をしていますが、周りの木々と調和していて非常に美しいです。宝形造りと呼ばれているそうです。
また西国三十三カ所巡礼の第二十九番札所でもあります。



参道も美しく、家族連れや参拝者も数多く訪れていました。




お腹が減ってきたので、境内の片隅でおにぎりを頂きます。
さて、このまま炎天下の車道を1時間弱歩いて高野登山口に戻るか・・・・
それとも・・・・




時間はまだ10時前。水分とドーピング剤もしっかり補給しました。
なんだか、もう一度、プチ劔岳の岩稜歩きと眺望を楽しみたくなってきたので、再び山頂を目指します。




ただ、自分が思ってた以上に登り返しはキツく、暑さとも相まって何度も足が止まってしまいます。
とくに鉄の階段梯子の登りは、力がグングン吸い取られます。




10：51　西峰　山頂前広場戻り
ザックをデポして山頂アタックされている方がいらっしゃるようです。ワタクシはもうヘロヘロなので、そのまま直進します。
ただ、荷物の軽量化の恩恵は明らかで、いつもの15～18ｋｇ近くあるテン泊ザックでは、とても登り返してこれなかったような気がします。




降りるときは結構気を使う急傾斜の梯子階段も、登る分にはあまり怖くありません。
ただ・・・・ただ・・・・辛いだけです（泣）
すれ違いで東峰から来られたハイカーさんは、慎重に慎重に、後ろ向きに降りてらっしゃいました。




ふたたび垂直の岩場をロープでよじ登り・・・




核心部に腰かけ、眼下に広がる絶景を眺めて、しばしボーッとしてますと、後続のハイカーさんが登ってこられました。




11：16　東峰　山頂広場戻り
やはり人気のお山らしく、この時間になると多くのハイカーさんとすれ違います。
皆さん口々にこの先のデンジャラスゾーンについて聞いてこられます。
話を伺っていると皆さん下調べをしてきているようなので安心ですが、まったく予備知識が無かったり、あまり山に登ったことの無い方ですとかなり大変かもしれません。




11時を回ってきましたので、広場のベンチで、至福のカップラーメンタイムと致しましょう。





本日、実戦投入したUL化計画　第二弾
その②　プリムス　115フェムトストーブ
点火装置が付いて、本体のみなら57ｇ
火力調節機能が高く、とろ火もOK。バーナーヘッドにメタルメッシュを織り込んで酸素を効率よく取り込めるため、ヘッドを縁で囲む防風構造が可能になり、炎の根元が風に煽られず、安定した燃焼が見込めるそうです。



115フェムトスストーブにピッタリの大きさのIP110ガスカートリッジと組み合わせると264ｇ




今まで使っていたコールマンのストーブもコンパクトな方だと思うのですが・・・・
かなり使い切ったガス缶と組み合わせても511ｇ。プリムスの倍近い重さがあります。




ただ、このままですと、軽くて小さいのが仇となり、コッヘル等を置いたき安定感が無くなるので、付属のアタッチメントを使いバランスを取ります。



点火も問題なし。炎も安定しており、ストレスなくお湯を沸かすことができました。




実戦投入したUL化計画第二弾
その③　ファイブテン　ガイド テニーミッドGTX　
アプローチシューズ（ロッククライマーが岩場の取付点まで歩くための靴）にカテゴライズされ、岩のグリップ力がずば抜けて高いのと、コンパクトで軽量ながらゴアテックスを纏っているのが売りのミッドカットシューズです。




片足460ｇと、ゴアテックス仕様のトレランシューズとあまり変わらないような重量です。
ソールはタコの吸盤のようなステルスC4で、つま先に力を込めやすいフラットで硬いクライミングゾーンが設けられています。
軽量、岩からの突き上げも気にならない適度な硬さのハイグリップソール、ゴアテックス、ミッドカット、が組み合わさって、岩稜帯の縦走で力を発揮してくれそうです。




今日のプチ岩稜帯でも吸い付くようなグリップ力と、軽量な靴で歩く恩恵は体感できましたが、土踏まずの部分がほとんど無いフラットな靴底なので砂礫や泥濘での足運びには注意が必要かもしれません。




12：23　展望台戻り
眼下に見える海水浴場の砂浜は人とビーチパラソルで溢れかえっています。




12：45　高野口への分岐点戻り




12：56　高野登山口戻り




麓に降りて、気温を確認すると・・・・・３４℃！
県道を歩いて帰ってこなくて良かったような・・・良くなかったような（笑）







今回もいろいろ試しながらの山行となりました。


プチ・デンジャラスな、このお山を紹介して下さった花火さんに感謝致します。


この日、すぐお隣の小浜市では、気温３７．１℃を記録。


今年の最高記録を更新したそうです。



本日の結論・・・・・


ULは、暑さにも強し！


お後は、ビールがよろしいようで（爆汗）




さあ、ツギはどの山にのぼロウか？






ちなみに今日のログです。




これで、ビールを飲まなきゃ痩せられるんだろうけどね～（遠い目）