2016.7.16 夏の始めのハーモニー 白山テン泊 その１ （別当出合～南竜馬場～別山）

待ちに待った3連休！
天候さえ良ければ、今年初の北アルプス遠征も考えていたのですが・・・・
お天気ナビゲーターは数日前からマメにチェックしていたものの、どーにもイマイチの予報が続きます。
どの山域も、初日こそ、曇りながら小雨あり・晴れ間ありで不安定。2日目からは崩れ、強風・暴風となる予測が出ています。



そんな中、地元白山のお天気は・・・？
おお、夕方から風は強まるものの比較的安定しており、翌日もお昼頃までは持ちそうとの予測。
よしっ、今回は北アルプス縦走テン泊の前哨戦として白山三山登拝のコースを一泊二日で周回することにしましょう！

初日　市ノ瀬からチブリ尾根を歩き別山へ登拝。そのまま大屏風の稜線を歩き南竜ヶ馬場幕営地でテン泊。
2日目　南竜ヶ馬場から残りのふたつ、御前峰・大汝峰を登拝し七倉の辻から釈迦新道を使って市ノ瀬へ下山。

総距離約32ｋｍ。累積標高3,000mオーバーとなる周回コースを、一泊するとはいえ、テン泊装備を担いで普通に歩き切れれば、
アルプスの前哨戦としては十分でしょう。
むふふふっ、素晴らしい計画だと悦に入っておりましたら・・・・

あつぷり師匠が、いまから３年も前に同じくテン泊装備で、とっくに踏破されていました（笑）




先週の鬼ヶ岳トレーニングで、18ｋｇオーバーのザックではロングが滅茶苦茶キツイであろうことが明確になりましたので、今回は根本的にザックの中身を見直しました。
その結果・・・水分1L込みで・・・・13.7Kｇ！
水場の豊富な白山なら、水分はあと1Lほどで十分でしょう。
この後、携帯やカメラなど追加したとしても15ｋｇほどに押さえられそうです。




4：40　市ノ瀬ビジターセンター駐車場到着
ザックはいつものテン泊用ミレーのクンブ65+10Lの大型ザックです。
白山では問題ないのですが、北アルプスでは岩稜帯を歩くことも想定して、寝るときのマットは外付けせず、全てザックの中に収納して、なるべく突起物が出ないよう、スリムなシルエットとなるようパッキングしています。




さすがに３連休の初日とあってロータリー近くの駐車場はすでに満杯。
後から入ってくる車は下の段の不整地に案内されています。




土日はマイカー規制がかかるので、AM５：００の始発シャトルバスを待つ沢山のハイカーさん達。




まっ、ワタクシはここ市ノ瀬から登り始めますから、バスの混雑は関係ないんですよ。
キレイなおトイレで、ゆっくりOPP（おなか・ぴー・ぴー）対策をして、登山届でも書きま・・・・・んっ・・・・？




はい～～～っ？？？
マジッすか！？下調べが足りませんでした。
チ、チ、チブリ尾根・・・・通れないっす！（叫）
いきなりの計画変更を余儀なくされました(;´д｀)




はいっ、５００円！
慌ててシャトルバス乗車券を購入して、今まで余裕ぶっこいて眺めていた、バス待ちの列に並ばせて頂きます（泣）
幸い朝一は臨時便が増発されているのか、ツギからツギへとバスがロータリーに入ってくるので待ち時間はほとんどありません。




5：45　別当出合　登山口到着
ツアーの方も多いようで、観光バスも何台も停まっています。



と、当然、別当出合は沢山のハイカーさんで溢れかえっています。
初めて白山に登った時は、ここのトイレが大混雑で大変な思いをしましたので、今日は事前にきっちりOPP対策済み。すんなり登山を始められました。
同じ過ちは繰り返しませんよっ！




5：54　登山開始
センジュガンピ（千手岩菲）に見送られて出発です。



ただ・・・・
前も・・・・・



・・・・後ろも・・・・
トイレだけでなく、お山自体が大混雑なんですっ！！！！
こ、こんなに混んでるんぢゃ・・・
白山唯一のテン場、南竜ヶ馬場野営場は、すぐ一杯になってしまうのでは！？
このままでは・・・・
テントが張れないかもしれないっ（怖）




はっ！？　
前を歩く、明らかにテン泊装備のカップル発見！
ふんんんぬぅ・・・・お二人にはなんの恨みもござんせんが・・・・
抜かせて頂きます！！




6：22　中飯場到着
気温は１９℃もあり、暑さがハンパないため、長Tとの重ね着でしたが、短T一枚に着替えます。




別当覗を過ぎても、行列は続きます。日差しも強くなってきて、より蒸し暑さが増してきました。




はっ！？
またもやテン泊間違いなしのハイカーさん・・・・
な、な、なんの恨みもござんせんが・・・
抜かせて頂きますっ！！！！




7：23　甚之助避難小屋到着
気ばっかり焦りますが・・・・



ゴゼンタチバナ（御前橘）や



ヨツバシオガマ（四葉塩竃）に癒されつつ歩を進めます。



7：44　南竜方面分岐到着




日が昇り、気温の上昇に伴って、上空には凄まじい数の羽虫がホバリングしています。




別山にも荒波のようにガスが押し寄せてきています。
これは別の意味でも南竜に急がなくては！




ただ、日当たりの良い南竜までの道はお花畑ロードです。




クルマユリ（車百合）や



オタカラコウ（雄宝香）



ヤマハハコ（山母子）



ハクサンフウロ（白山風露）



そして真打ち登場！ニッコウキスゲ（日光黄萓）




最初に通った時は、けっこう怖かった南竜までの道。
見晴らしのいい尾根を回り込むと・・・




南竜山荘が見えてきました。



よ、よかった！
テン場には、テントが一張りだけ。これなら好きな場所に張れそうです。




南竜に近づくにつれ、ニッコウキスゲの密度が濃くなっていきます。




木道が始まったら、山荘はスグソコです。




ここからだと、油坂の頭へと続くつづら折りの急登が丸見えですな。
あそこを通らずに別山へ行ける道はないのでしょうか（笑）



8：12　南竜ヶ馬場セントラルロッジ到着　
ここでテン泊の受付をします。



ロッジの中にはストーブが焚かれていました。
幕営料は３００円です。他のテン場のようにテントに括りつけておくタグのようなものはありません。



ここにもチブリ登山道の通行止めの案内がありました。どうやら登山口近くで落石があったようですね。
当然御舎利山からの下山もダメと警告されています。




いつも思うのですが、受付を済ませてから野営場までのゆるーい登りがとってもキツイんですけど・・・
気が抜けてるので余計なんでしょうね。



幸いテン場は二張りのみでしたので、場所はまだまだ良いところが選べます。




今回の山行で投入したULに向けての新兵器！
その①　マウンテンハードウェア　ゴーストUL１テント
ポール・フライシートを使用する自立式の３シーズンテントながら重量は751ｇと、ちょっとしたツェルト並みの超軽量っぷり！今まで使っていたモンベルのステラリッジ2が1.6ｋｇほどでしたので、半分以下の重量です。
当然、テントの生地はかなり薄く、ポールも細くなっているのでどの程度の耐候性があるのか気になるところです。




設営はツェルト並みに超簡単です。
風上側にフットプリントとインナーシートの足側をペグダウンします。



前後のジョイントにポールを繋いでいき、



四隅のタグ穴にポールの端を差し込み、立ち上げます。




風下となる入口側もペグダウンし、
あとはポールに沿ってインナーテントを吊り下げればOK。




突き出したポールの先端にフライシートの頂点を合わせて、被せます。





あとは数カ所の張り綱を調整してテンションを与えれば完成です。
外で初めて張りましたが、１５分くらいで出来ました。慣れれば１０分かからずに張れそうです。




「ゴースト」の名のとおり、うすうす、スケスケなのが・・・セクシーっす（笑）
今夜は風も強まり、雨も降るかもしれない予報でしたので、耐候テストにはうってつけかも知れません。





9：36　別山に向けて出発
ニッコウキスゲがすぐ近くに咲き、テーブルもある良い場所にテント設営できたので一安心。
おにぎり２個を胃袋に放り込み、別山を目指します。
今回は大型ザックで動き回ることが目的なので、アタックザックにせず、再び大型ザックを担ぎます。




湿原の木道沿いにもチブリ尾根通行禁止の警告板が立てられていました。
復旧までどのくらいかかるのか、状況が解らないので心配です。



木道が終わる湿原の端っこまできますと、眼下に赤谷が見渡せます。
いったん谷底まで降りきってからの登り返しがキツイんですよ。



沢を２カ所渡渉して、反対側の斜面に取り付きます。沢からの登りはじめは草木が生い茂って登山道が見にくくなっているところもありますので、少し注意が必要です。




ただ、登り返しの斜面にもお花たちが咲き乱れていますので、ずいぶんと癒されます。




ミヤマダイモンジソウ（深山大文字草）




赤谷の沢から２０分ほど登ると、笹薮が無くなり、視界が開けてきます。稜線まではもうすぐです。




10：14　油坂の頭到着
雲海の向こうに乗鞍岳が見えています。



その右手には御嶽山。少し噴煙が上がっているようです。



左手には北アルプス。この荒々しさは穂高岳の稜線でしょうか。



さらには、立山・劔岳へと続く峰々。雲海の上、小島のように浮かぶその姿は幻想的です。



そして、ここから別山までは岐阜県側がスパッと切れ落ちた尾根道が続きます。
ここも初めて歩いた２年前は、とても怖くて谷側を見ないように見ないようにしていましたが・・・
今日は景色を楽しむ余裕がありました。



とくに今回は山側も・・・・



谷側の斜面も、黄色く埋め尽くすニッコウキスゲがあまりに見事で、高度感を忘れてしまうほど魅入ってしまいます。




10：29　天池到着
この先は大屏風と呼ばれています。



ザレたところもありますので、お花に気を取られ過ぎないように慎重に進みます。



少し歩をすすめるごとに植生が変わり、変化に富んだお花たちが迎えてくれます。
切れ落ちた崖の上には、タテヤマウツボグサ（立山靫草）



点在する池塘の周りはハクサンコザクラ(白山小桜）で埋め尽くされています。




さらにはハクサンシャクナゲ（白山石楠花）



ミヤマリンドウ（深山竜胆）




ハクサンイチゲ（白山一華）




まさに天空の楽園を空中散歩している気分ですね。




11：24　別山まで0.6ｋｍの標識通過



ここから山頂までは、チングルマ（稚児車）の群生が続いています。



11：42　別山山頂到着（標高2399.4ｍ）
上空は時折青空が見えるものの、絶え間なく濃いガスが上がってきており、残念ながら展望は望めません。
７～８人ほどの先着ハイカーさんが思い思いに休息されていました。



ワタクシも別山神社にお参りし、風除けに積み上げられた岩の裏側でおにぎりを頂きます。




さすがに山頂は風が強いのですが、気温は１９℃とあまり寒さは感じません。
平瀬道から登り、既に御前峰と大汝峰を回ってきて、これからピストンで戻るという健脚ハイカーさんと小松からいらしてたベテランハイカーさんとしばし談笑。



眺望が効かないので、山頂の一番人気は・・・
コツマトリソウ（小褄取草）
通常のツマトリソウより先端が丸く、全体がすごく小さい種類のようです。




12：18　下山開始
いちおう御舎利山にも登りましたが、展望はまったく効かず。早々に山頂を後にしました。
も、もう、あとはテン場で飲むビールのことしか頭になくなってきました（笑）



テントをザックから降ろしてきたとはいえ、まだまだ重い大型ザックでの別山往復にかなりヘロヘロになってきました。
油坂の頭からの浮石だらけの下りがシンドイのなんのって（泣）
で、でも俺には・・・もうすぐビールが待っている！！！！
辛くなんかないのだっ！



赤谷の沢でも水をペットボトルに補給するだけで、あえて飲みませんよ（笑）




赤谷から南竜までの登り返しが・・・本日、最後の試練ですな・・・




14：23　南竜ヶ馬場野営場戻り
もっと足の踏み場も無いくらいテントの花が咲いているかと思いましたが、まだ余裕がありました。
ただ、良い場所はほぼほぼ埋まってきています。



おっ！？ツェルトで頑張ってらっしゃるハイカーさんもいますね～




我が家に帰着。無事立っていてくれました。
リヤビューは・・・ウチもかなりツェルトっぽいな・・・・


　　　　　　　　　降りたら晴れるの法則どおり、再び広がりだした青空に向かって・・・
かんぱーーーいっ！



足もクロックスもどきに履き替えてリラックスです。



ほどよく酔いも回ってきたとこで、本日の寝床を作りましょう。
これがUL化にむけて投入した新兵器
その②　サーマレスト　ネオエア　XLite　女性用です。
重さは340ｇ　男性用スモールサイズ（119ｃｍ）の230ｇよりは若干重くなるものの、長さが168ｃｍあり断熱効率を上げるアルミ蒸着の熱反射板が１枚多く内蔵されており、保温力に優れているそうです。今まで使っていたウレタンフォームパッドが630ｇほどしていましたので、これも半分ほどの重さになりました。




自立膨張式マットではないので、空気を全て吹き入れなければなりませんが、パンパンに入れない方がいいとのことですので
立ちくらみがするほどの吹き込みは必要ありません。実際７～８割ほどの充填率で使ってみると、カラダがマットの上でふわふわと暴れることも無く、実にいい感じで横になれます。ワタクシは横臥して寝ることも多いのですが、カラダの凹凸を自然に吸収して、地面からの圧をあまり感じずに済みます。とかなんとかもっともらしく書いていますが・・・・
このマット、実はお仲間とお花見テン泊した際に、レジェンドこと、なっきー軍曹が使っていたのを見て、単に真似しただけなんですけどね（笑）なっきーさん・・・すいません！





ビールの酔いも回って、テントの中でウトウトです・・・・・


ふと気が付くと・・・・

テントの外から・・・・・・

聞き覚えのある声が聞こえてきました。

妙に人を元気にさせる、ハイトーン・ボイス＆マシンガントーク（笑）

いやいやいや、まさか・・・・・
まだ、夢でも見てるのかな？？？と寝返りを打とうとしたその時・・・・
今度は頭のすぐ上で、その声が響き渡りました（笑）

ここっすね～♪　　ここっす　ここっす！



慌ててテントから飛び出したワタクシの目に飛び込んできたのは・・・・・







赤いグラナイトギアと・・・・・・






このシルエットでした（笑）



・・・・・その２に続く






ちなみに今日のログです。




沿面距離　15.6ｋｍ　累積標高2307.6ｍでしたが・・・・・テン泊装備は、やはり疲れちゃいました。