2015.10.25 山鳩が傷を癒しに来るところ 鳩ヶ湯～赤兎山 （ソロ）

う～む。どうもおかしい・・・
昨日の銀杏峰ハイク、沿面距離11ｋｍ・累積標高1,200ｍほどでしたが、かなり疲れました。
もちろん鼻歌混じりにのぼれるお山ではありませんが、ふくらはぎも非常に張っています。
ひょっとして二週間以上たった今も、六甲全山縦走の疲れが残っているのでしょうか？
確かに、忘れた頃に筋肉痛が襲ってくるような新陳代謝がめちゃ遅い年頃になってしまったワタシですので、それもやむを得ないのかも・・・・




（写真は鳩ヶ湯温泉のＨＰより）　

ここはひとつ・・・
今年9月、不死鳥のように復活した鳩ヶ湯の温泉に浸からせてもらって、体を癒し、ワタシ自身も完全復活しなければ！




鳩ヶ湯は福井県の奥座敷といわれる大野市のさらに奥、三ノ峰登山口へと続く県道173号線沿いの上打波地区にあります。
2013年5月に若主人が急逝されたため、1903（明治36）年開業以来100年余りの歴史にいったん幕を閉じましたが、岐阜県の豊実精工(株)という企業が再建に名乗りをあげてくださり、営業再開に向けて準備を進めておられました。


　
ところが今年2月の大雪の重みで建物が倒壊。再建は暗礁に乗り上げてしまいました。


　
（上記3点の写真は鳩ヶ湯温泉ＨＰより）

しかし、復活に賭ける方々の大変なご努力の結果、同年9月、温泉とお食事の営業を再開されるまでこぎ着けられたのです。




（2014.10.26　ツギロウ撮影）

当初、近くにある刈込池の紅葉を見て、のんびり鳩ヶ湯温泉に浸かろうという軟弱プランを立てていたのですが・・・・
ふと目に留まったのが、リンクさせて頂いているブログ「山登りの楽しみ」　ＦＫＩ－徳さんのレポです。
一週間前の10/18に鳩ヶ湯から赤兎山に登られた記事をＵＰされており、以前から興味があったこのルートを歩きたくて堪らなくなってしまいました。コメントには「来年チャレンジしたい」などと書き込みさせて頂きましたが・・・・・今日行くことにしました（笑）ＦＫＩ－徳さん　ごめんなさい！




8：50　登山口に続く林道入り口到着
標識もなにもありませんが、鳩ヶ湯から500ｍほど進んだ県道の脇に車4～5台ほど停められるスペースがあります。先行のハイカーさんと思われる車が一台停まっていました。



温泉休業中は、鳩ヶ湯に車を停めて直接登れたようですが、今日は行楽のお客さんがたくさん来ることが予想されますので邪魔にならないよう離れた場所に停めます。下調べしてみると、荒廃したところもあるそこそこの難コースで道迷いの恐れもアリとのことでしたので、2年ほど前に鳩ヶ湯から登られた方のＧＰＸデータをネットから自分のＧＰＳに落としてきました。紫色のラインがその方が歩かれたルートです。鳩ヶ湯にちなんでサブレさんのルートとでもしておきましょうか。サブレさんも直接鳩ヶ湯から登られてますので、後に合流することになります。




林道の入口には鎖が張られていますが、この先の登山道を示す思われるピンクのリボンが結びつけられています。




気温は10℃です。かなり肌寒いですが、登り出すとすぐカラダが熱くなりますので、昨日と同様長Ｔ短Ｔの組み合わせで登り始めます。中盤までは谷沿いのルートですので風の影響も少ないでしょう。



間もなくサブレさんのルートと合流しました。



谷沿いに進む道もありましたが、サブレさんのルートに従って斜面をつづらおりに登って行きます。



標高600ｍ付近でも、すでに紅葉が始まっています。



鳩ヶ湯から赤兎山は・・・8ｋｍですか・・・・けっこうありますね。昭文社の「山と高原地図」によるとＣＴは4時間となっていました。



青いビニールテープが巻かれた杉の幹に比較的新しい案内板が貼りつけられていました。



9：21　赤兎山登山口到着
ここで林道から外れ、山道に入って行きます。



どうもクマさんはこういう標識が大っ嫌いのようで、上部が激しく破壊されております（笑）
赤兎山が、タダの兎山に成り下がっていました。



一部プラ階段はあるものの、最初から急登が続きます。



日陰となる杉林の中は、気温がさらに下がります。




何度か林道とクロスしながら進んでいきます。




杉林を抜けると、たんどう谷という大きな谷の東側斜面をトラバース気味に登る道に変わってきます。道幅は狭く、落葉や草で谷側へ切れ落ちる崖との境が解りづらく慎重に進まねばなりません。



また、昨日の夕方から深夜にかけて降った激しい雨のためか道の端がかなり崩れやすくなっており、足運びに気を遣います。



また、大きな岩が道を塞いでいるところなどもあります。




登山道の歩きにくさに反し、道の脇では、マユミ（檀弓）の実が鮮やかです。
第83代天皇であり優れた歌人でもある土御門院によって
「深山辺や　檀弓より濃き　色ぞなき　紅葉は秋の　ならいなれども」　
と詠われています。



日が高くなるにつれ気温も上がってきました。



まわりの紅葉も見事です。



空は抜けるように青く、よりいっそう木々の色づきを引き立たせます。



10：24　たんどう谷の沢を渡渉




「山と高原地図」には増水時通行不可と記されており、昨夜の雨で心配していたのですが、岩づたいに渡渉することができました。



ところが渡り切ったところには登山道が続いておらず、辺りを捜しても登山道らしき道が発見できません。
このルート、沢で登山道が分断されているところが何ヶ所かあり、渡渉する前に登山道の繋がり具合をよく観察しておく必要があります。



このときはサブレさんの助けを借りました。どうやら渡りやすい岩を捜していて、知らぬ間にルートより少し上流を渡渉してしまったため、道の繋がりが解らなくなっていたのです。
しかもルートとは逆の上流部を向いて捜していたことも解りましたので・・・・



あわてて軌道修正です！下流方向を捜し直して、やっと登山道を発見することが出来ました。



たんどう谷を渡った後は、谷の西斜面を奥ノ塚峠に向かって登って行きます。紅葉のトンネルがとても美しいのですが・・・



地図でも奥ノ塚峠までは破線が続きますので、気が抜けません。



前夜の雨で地盤が緩くなっていて、足を置いたとたん、崖側に崩れてしまうようなザレた斜面もあり神経を遣います。




道幅も1歩～２歩分しかないところもあり、慎重に進みます。



バッタくんだけが、軽やかに飛び跳ねています。



たんどう谷から15分ほど登ったところに小さな滝がありました。このルートなかなか大変ですが、水場には困りません。




水量も豊富で、ここまでの疲れが癒されます。



濡れた落葉もとても美しいですね。




10：55　奥ノ塚峠付近で小休止
登り始めから2時間ほど経過しています。



　
おにぎり・一本満足バナナタルトバー・アミノカプシを摂取しました。



残念なことに盗掘があるのでしょうね。地元の方からの痛々しいメッセージが設置されていました。




峠を越えると、一気に視界が開け、ブナ林に包まれた緩やかな広尾根歩きに変わります。



頂上までは、あともうちょっと！




さらにブナ林を抜けると、うさぎ平と呼ばれる低木帯に出ます。赤兎山の頂上が見えてきました。



　延々と続くうさぎ平の緩斜面。あまり踏み固められていない柔らかな登りが体力を吸い取っていきます。
頂上は目の前なんですが、なかなか近づいて来てくれません！
また、まわりを遮る木々が無くなってきたので、強風が吹きつけるようになってきました。気温も一気に下がってきたようです。




12：12　赤兎山　山頂到着（標高1,628ｍ）
澄み切った青空をバックに白山が眼前に迫ります。



御前峰と大汝峰の勇姿。



三ノ峰から別山平を経て、別山山頂に続く稜線。



振り返ると経ヶ岳から大舟山を経て赤兎山に続く稜線。



経ヶ岳からの稜線には登山道も目視できます。地図で見るとここも破線ルートですけどね。



お隣には荒島岳もくっきり見えています。



赤兎避難小屋も大勢のハイカーさんで賑わっているようでした。


　
山頂は風が強まる一方で、気温も一気に5℃まで下がりました。
たまらず手袋とパーカーを羽織ります。強風をやり過ごすため笹薮の際に座り込み、残っているおにぎりをお腹の中に詰め込みます。下りに備え、アミノカプシも再度摂取します。



12：37　下山開始
下りとはいえ、長い破線ルートが待ってます。避難小屋には寄らずに帰ることにしました。
前方に一足先に降りて行かれた数少ない鳩ヶ湯ルートでのお仲間がいらっしゃいました。ご主人さまには山頂で越前禅定道の事をいろいろ教えて頂きました。お二人も今日初めてこのコースを登られたそうです。



広尾根のブナ林を快調に下ります。




あれだけ注意していたのに、たんどう谷の小さな滝の手前で道を間違え沢を少し下ってしまいましたが、ここもＧＰＳを駆使してなんとか藪を這い上がり登山道に復帰。



　
その後も道にせり出している倒木の上で休んだり、道が削られて無くなっているので斜面から生えている木をワニの背中のようにステップしたりしてひたすら鳩ヶ湯を目指します。




たんどう谷の沢も渡渉して・・・・



倒木も四つん這いになってクリアし、あらかた難所は通り過ぎたかなと、小休止したときに気づきました・・・・
・・・・・・ＧＰＳが無いっ！？
普段はザックの天蓋に放り込んでおくのですが、今回は見る頻度が高いためザックのウエストベルトに付いてるポケットにいれておいたのです。転倒してＧＰＳが飛び出したりしないようにファスナーは閉めていたハズなのですが、今はファスナーが開き中にはなにも入っていません。



ザレた急斜面や、落葉の中に落としていたら、まず見つかる可能性は低いですが、
とりあえずザックを降ろして休憩した場所や、最後にＧＰＳを使った小さな滝まで戻ってみることにしました。あの滝までは30分ほど戻らないとなりませんが、高価な高価なＧＰＳです。簡単にはあきらめきれません。



戻る途中、すれちがった二組のハイカーさんに聞いて見ても、ＧＰＳなど見かけなかったとおっしゃっていました。
もし落ちていたとしても深い落葉の下に潜り込んでしまっていたらまず解らないでしょう。
休憩した場所まで戻ってきましたが、影も形もありません。残る可能性は道を間違えて藪漕ぎした小さな滝のところです。
そこで見つからなかったらあきらめよう。正直、もう半分以上無理かと思ってますが・・・・

藪漕ぎして登山道に這い上がった場所から再び藪に滑り降ります。
ナニやってんだろう・・・俺・・・・
ナニ無駄なことしてんだ・・・・


自己嫌悪と失望感がピークに達したとき・・・・



あ、ありました・・・・。

ただもう、うれしいというより、気が抜けてしまって、よろよろと来た道を戻ります。



すっかり日も傾いてしまいました。かれこれ40分くらいはロスしてしまったようです。
ただ、ここで急いでも、いったん気の抜けたカラダでは危険なだけなので、意識してゆっくり歩きます。



時刻も15：00を回ってしまいましたが、もう明るいうちに降りれれば良しとしましょう。


　
やっと標識のある杉林に戻ってきました。



15：35　〇兎山登山口戻り



　
さらに車を停めた県道までつづらおりの林道を降りて行きます。この頃になってやっとホッとしました。



16：02　県道の駐車スペース戻り




もうソッコーで鳩ヶ湯に向かいます。




ふろっ！　ふろっ！　ふろっ！　おふろぉ～！


　
ふろっ！　ふろっ！　ふろろ～



き、きたぁー！


　
おりゃぁ～



（写真は鳩ヶ湯温泉のＨＰより）
ざっぶ～～ん！

さすがに、湯船は小さく、芋の子を洗うような状況でしたので、サービスショットは撮れませんでした。
お湯はぬるめで、素晴らしい浸かり心地です。




またのぼせてしまってもイケないので、早めに上がり、



お食事メニューの中から、「まい茸おろしそば」を頂きました。





色々失敗もありましたが・・・・

良い一日でした。


人生には、無駄なことなど、ひとつもないのだっ！


たしか、どこかの歌人だか哲学者だかが叫んでいたような・・・・




さあ、ツギはどの山にのぼロウか？




ちなみに、今日のログです。




沿面距離　18.3ｋｍ
累積標高（＋）　　2191.7ｍでした。